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コスモス薬品、増税後も価格据え置きの影響で上期減益も、関東へ積極出店

九州を拠点に全国でディスカウントドラッグストアを展開するコスモス薬品(福岡県/横山英昭社長)は15日、2020年5月期第2四半期決算説明会を開催した。上期業績は減益に沈んだものの、通期ではほぼ横ばいに着地する計画だ。来期以降は、本格的に関東への出店を進める方針で、横山社長は、年間100店舗をめざすなど店舗舗網拡大に意欲を見せた。同社の今後の戦略をまとめた。

 

コスモス薬品の横山英昭社長

 営業減益の要因は税込価格の据え置き

 コスモス薬品の20年5月期第2四半期決算(連結)は、売上高が対前年同期比9.0%増の3252億円、営業利益が同2.9%減の119億円、経常利益131億円、四半期純利益は同2.6%減の87億円だった。

減益の主な理由について、横山社長は「消費増税があったなかで、当社は税込価格を据え置くと決定した。そのため、棚卸在庫の評価減となり、営業利益が押し下げられた」説明する。

11月からは売上高が回復基調

 19年10月の消費増税に伴い、9月は駆け込み需要、10月はその反動減により既存店売上高が4.7%減(対前年同月比)と落ち込んだ。だが前述したように、増税した2%分を同社が負担し、税込価格を据え置いたことで、11月は同3.2%増、12月は同1.2%増と売上高は回復した。

 横山社長は、「増税後は、消費者が節約を意識することにより、デフレを招く。そのため、消費者に働きかけをする必要があった」と、税込価格の据え置きを決めた経緯を話す。

 そのうえで「ポイント還元よりも、“ダイレクト値引き”のほうがわかりやすい。消費者が『コスモス薬品は安い』と認識したことが、売上高の回復につながった」(横山社長)と税込価格据え置きの効果を明らかにした。

 期初に発表した通期業績予想の修正はなく、売上高は6585億円(対前年比7.7%増)、営業利益は248億円(0.1%増)、経常利益は横ばいの273億円、当期純利益は191億円を見込む。

関東地区へ郊外型店舗を2030店展開か

 九州を拠点に全国へ店舗網を拡大するコスモス薬品は上半期、関東1、中部6、関西18、中国2、四国2、九州12、合計41店を新規出店し、総店舗数は20年5月期第2四半期末で合計1032店舗になった。下期についても、期初の計画通りに進める予定だ。通期では関東5、中部・関西で55、中国・四国・九州で30を計画しており、下期は上半期を上回るペースでの出店となる。

 同社として重点エリアと位置付けているのは、関東地区だ。現状、関東地区の既存店は、インバウンド向けの“副業的”な店舗か、実験的な都市型店が中心となっている。「来期以降は“本業”として位置付ける郊外型店舗を、関東地区で20~30店舗出店したい」と横山社長は関東圏攻略に意欲を見せる。

「九州と比べて人口密度が高く、高所得者も多い関東は“肥沃の大地”である。出店することで売上高も利益も上がる」と横山社長が述べた。

 同社の九州地区などの郊外型店舗の標準は、売場面積450~500坪程度、年商6億5000万円ほどだが、関東地区で出店した場合はその数字を上回る可能性があるという。

 「首都圏のドラッグストアは、物販が少ない傾向にある。物販の多い当社は競争力をもっている」と出店後の優位性獲得に意欲的だ。同社は、来期以降も年間100店舗のペースで出店を続ける方針で、ドラッグストアだけにとどまらず食品スーパーにとっても脅威となりそうだ。