こんにちは、成田直人です。前回は、優秀なスタッフが辞めたくなる組織、辞めたくならない組織について理解していただきました。今回は優秀なスタッフが辞めないための店を作るための3ステップについて解説していきます。
ステップ① 現在の仕事ぶりを可視化する
まずは一番重要なことから始めましょう。最初にするべきことは、「あなた(店長)がどれだけ現場スタッフのことに関心を持っているか」をきっちりと伝えることです。「いつもありがとう!」だけでは漠然としているので、当該スタッフがどれだけ自店舗に欠かせないのか?、を行動レベルでフィードバックをすることが重要です。具体的な取り組み方は、その人の日々の仕事ぶりを箇条書きで書き出すことです。
これを1日のワークフローにすると良いでしょう。例えば、
9時から10時 入荷検品
10時から11時 オープン準備
とこんな風に書き出します。しかし、ここまでなら正直、誰でもできるのです。というか本人にかいてもらえば良いという話になってしまいます。ここで一つ工夫を加えることでスタッフのモチベーションは一気に高まります。それは、他のスタッフとどれだけ生産性が違うのかを赤ペンでフィードバックをするのです。
9時から10時 入荷検品(他スタッフの3倍スピードでこなすあたり、さすがの一言!)
10時から11時 オープン準備(○○さんが出社してくれることで朝の時間で一切ストレスを感じない。完璧な指示出しと時間の読みは脱帽レベル!)
と、ただのフィードバックではなくあなたから見た該当スタッフの凄みを挿入することで受け手は「ここまで見てくれているんだな」と充足感が体中に巡ります。見ていることはきっちりと見ているよ!とどういう形であればフィードバックすることが大切です。
ステップ② 貢献に最大限の賛辞を送る(勤続年数褒賞など)
これは当社クライアントでよく取り組む表彰式の一例です。どれだけ貢献してくれているのかの一つの指標に勤続年数があります。やはり入社したてのアルバイトよりも100倍(言い過ぎか・・・)以上、同じ1日でも高い生産性を示してくれるのが古株スタッフです。できれば表彰式という形(賞状とプレゼント)で実施をすると効果絶大です。
「今の若い世代は表彰されたところで・・・」、と思うモノですが古株スタッフの多くは年齢を重ねている上、今まで会社から特別認められた功績がないためうれし涙を流す人や自宅に額に入れて飾る方もでてくるほど感動を生みます。ここまででもう理解されているかもしれませんが、古株スタッフを離職させないために一番必要なことは、承認と尊重、そして賞賛の3つなのです。この3つが欠けることで、「私は必要とされていない」と疎外感を感じるものなのです。失ってからでは遅いので、この3つをテーマに優秀なスタッフのモチベーションを上げていきましょう。
ステップ③ 次なる大きな目標を共創する
最後は、一緒に目標を創ることです。これまでは会社や店長から一方的に目標を与えられて動くものだと思っていたスタッフに責任感と自主性を生み出すために目標を一緒に創るのです。
おそらく最初は「店長考えてくださいよ~」と遠慮してくるでしょうが、「いやいやいや、一緒に考えたいんだ!」と突っぱねてください。目標とは担当する売場の具体的な売上目標でも構いませんし、新人スタッフを一人前に育てよう!と言ったテーマでもかまいません。大切なのは店の方向性とスタッフの方向性が合っているかどうかを確認し、目標設定しやすいようリードしてあげることだけです。例えば繁忙期を迎えるのに「教育する!」というテーマでは、ちょっと不適切ですよね。それよりも売りに集中できるように売上目標を立てた方が得策でしょう。反対に閑散期にはじっくりと教育ができるので新人スタッフを1人前にするという目標でも良いと思います。一緒に考えることでスタッフも責任を持って目標達成に励んでくれるようになります。
大切なことは、実行に移すこと
3ステップいかがでしたでしょうか。今すぐに取り組めることばかりだったと思います。店長と該当スタッフとの関係性次第で1からはじめても良いですが、2からはじめても、3からはじめても構いません。また順序を変えて取り組むのでも構いません、大切なことは実行に移すことです。
これからの時代はますます人材力がものを言う時代になります。今までは人口も多く、一つの店を出せばドル箱状態でした。しかしそれは昔の話。オペレーション(作業中心)で稼げる時代は終わり、これからの時代は顧客の潜在ニーズをどれだけ引き出す販促案(アイデア)を量産できるかにかかっています。欲しい商品(顕在ニーズ)だけでは商売にならないのはもうお気づきでしょう。客単価も下がり来店頻度も下がっているのが今なのです。来店頻度を上げて客単価を上げるためにはアイデアが必要、まさにそのアイデアは現場に沢山転がっています。毎日働いて顧客と接しているアルバイト・パート、なかでも古株の優秀なスタッフが持っている情報(顧客の潜在ニーズ)は大変価値があるものです。
この価値を最大限発揮できる環境を創り、支援をすることで今よりも売上アップするでしょう。売上が上がりかつての活気が戻れば、どうなるでしょう。スタッフは仕事の楽しみを今以上に感じて、離職なんて頭にも浮かばなくなります。今回紹介した3ステップを実践し、今よりももっと仕事に価値を感じられる環境を創り地域に愛される店を創っていきましょう。
次回は、店長は何でも屋ではなく、店長にしかできないこと、やらなければいけないこと、本当の店長の仕事とは?を解明していきたいと思います。どうぞ次回もお楽しみに!
なりた・なおと
19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。