「次世代食品流通業への進化」をビジョンに掲げる食品卸大手の三菱食品(東京都/京谷裕社長)は、2022年3月期に経常利益252億円の過去最高益を上げた。30年度をめどに経常利益300億~350億円をめざす同社は、新たな成長領域への投資に力を入れる。その成長投資先の1つが「データ×デジタル(DD)マーケティング」事業だ。
「三菱食品流のリテールメディア」
DDマーケティングとは、文字どおり、データとデジタルマーケティングを掛け合わせることを意味する。
三菱食品は、メーカー約6500社と小売企業(外食なども含む)約3000社との取引を通じて数万品目の商品を全国の16万店舗に届け、この取引から年間12億件の取引データを得ている。この膨大なデータに、リテールサポート業務を通じて培った生活者理解の知見を融合させ、広告や販促、売場展開の提案、それらの効果の検証までを行う。これを消費者との次のコミュニケーションに生かす活動として、三菱食品ではDDマーケティングと呼んでいる。
DDマーケティングはリテールメディアとして機能するだけではなく、販促や売場展開の打ち手までを活動領域にする。三菱食品のマーケティング開発本部長を務める小山裕士執行役員は「三菱食品流のリテールメディアだ」と語る。
続けて、「これまでも小売業のID-POS(販売時点情報管理)を預かり、分析をし、マーチャンダイジングの提案やCRM(顧客関係管理)の施策につなげるといったリテールサポートを行ってきたので、もともとデータを分析する素地はあった。DDマーケティングでは、そのデータ分析力をメーカーと小売業の間の新しいコミュニケーションに昇華させた」と説明する。
11年に食品卸4社が経営統合して誕生した三菱食品は、全国に取引先を持つ「フルエリア」、あらゆる食品小売業態を帳合先に持つ「フルチャネル」、すべての食品の商品群を取り扱う「フルカテゴリー」であることが特徴だ。三菱食品が得る俯瞰的かつ詳細なデータを駆使して課題の抽出や解決策の提案を行う点が、DDマーケティングの要となる。三菱食品は現在、同事業において小売企業とメーカー、それぞれに対するソリューション担当など総勢
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