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ニューフレアTOB方針は継続、不成立でも困らず=東芝会長

東芝の車谷暢昭会長兼CEO
12月19日、東芝の車谷暢昭会長兼CEO(最高経営責任者、写真)は、ニューフレアテクノロジーの完全子会社化に向けて実施しているTOBを淡々と進める考えを示した上で、成立しなくても「特に困らない」と述べた。写真は都内で昨年5月撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

[東京 19日 ロイター] – 東芝の車谷暢昭会長兼CEO(最高経営責任者)は、ニューフレアテクノロジーの完全子会社化に向けて実施しているTOBを淡々と進める考えを示した上で、成立しなくても「特に困らない」と述べた。ロイターとのインタビューで語った。ニューフレアに対しては、HOYAが東芝より高い価格でのTOB実施を表明しており、争奪戦の様相となっている。

HOYAが東芝より高い価格を示したことで、東芝のTOBが成立しない可能性がある。車谷会長は、ニューフレアの完全子会社化を目指す方針を継続するとしながら、TOB価格の引き上げは想定していないとした。

もともとニューフレアなど上場子会社へのTOBは、親子上場に伴う利益相反を防ぐための政府の指針を踏まえた取り組みだと車谷会長は説明。ニューフレアとの間に、親子上場によるガバナンス上の懸念が実際にあるためではないとし、TOBが成立せず現在の親子関係が継続しても目先、不都合はないとの考えを示した。

一方、ニューフレアの新製品開発では東芝の技術陣が約100人関わっており「東芝なしでは成り立たなくなる」と指摘。東芝がTOBする方が企業価値の向上につながるとし、「株主にも説明する」と話した。

東芝では、連結子会社の東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)がニューフレアに対するTOBを1株1万1900円で実施している。そこに12月13日にHOYAが1万2900円で同じくTOBの意向を示した。

これまでのところ、東芝にはHOYAからの接触はないという。他社がTOBを実施している企業に対してTOBを仕掛けるHOYAの手法について車谷会長は「あまり聞かないディール」としつつ、東芝としては予定通りTOBを進める意向を示した。

東芝のTOB成立の下限は14.27%の取得。15.80%を保有する東芝機械から買い付けられれば成立する。ただ、東芝より高いTOB価格をHOYAが示したため、東芝機械としては東芝への売却を株主に説明しにくくなっている。東芝機械は、投資家の村上世彰氏に近い投資会社などが筆頭株主となっている。

東芝機械などの株主がHOYAになびけば、東芝のTOBが成立しない恐れがある。このため東芝機械が争奪戦の鍵を握るとの見方もあるが、車谷会長は「ポイントとなるのは東芝だ」とこれに反論した。

HOYAはニューフレア株の66.67%をTOBの下限とする方針。東芝グループでは東芝D&Sがニューフレアの52.40%を保有しており、東芝D&Sが売却に応じなければ、HOYAのTOBは成立しない。

車谷会長はHOYAの示した価格について「我々の株を売るような値段では全然ない」と指摘し、機関決定したわけではないとしながら「(東芝グループとして)売ることはあり得ない」と明言した。

東芝によるTOB期間は11月14日ー12月25日。あと1週間ほどでTOBの成否は明らかになる。不成立となった場合、HOYAは来年4月のTOB開始を目指す。