生活者のニーズとウォンツを更新する
生活者の価値観や暮らし方は昭和の時代から平成を経過し、令和の今日では大きく変化している。それは長引く経済の低迷、少子高齢化、働く女性の増加、単身世帯の急増、ITの普及、働き方の多様化など、広い範囲で人々の暮らし方に影響を与える変革要素が絡み合った結果である。
価値観や暮らし方が変われば生活者のニーズとウォンツも当然に変化する。それに対応して商品とその販売方法も進化しなければならないはずだ。しかし現状では、それができているといえるほどの実感がないのが本音である。
ダイヤモンド・チェーンストア誌での前連載シリーズで述べたように、フォーマットの継続性は限定的である。それまでになかった商品部門構成の便利さと、新たな価格帯との組み合わせ、そして業態(立地条件、建物のフロア構成、ショッピングセンター<S C>への入居、駐車場の有無、セルフサービスのレベルなど主として物理的な買物の便利さ)が人気を呼び、客数は増える。しかしその後、時間の経過とともにフォーマットの革新性は喪失し、より現実的な商品部門構成、より低価格、より便利な業態の新たなフォーマットの台頭を許すことになる。そこで既存フォーマットは商品部門ごとに侵略されることになるのだ。
それを避けるために、競争の渦中で成長を続けるアメリカのチェーンストアは、8~10年のサイクルであらゆるフォーマットの要素を見直してプロトタイプをつくり直してきた。確立後2~3年間をかけて全店をプロトタイプに合わせて改造してきたのだ。つまり全店を新店に変身させてきたのである。同時に標準化も進んだ。
それをしてこなかったのが最近倒産したホームファッション専門店チェーンのBed Bath& Beyondである。1000店を超えたところで一挙に崩壊したのは、プライベートブランド(PB)開発の遅れとともに、
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