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利用してわかった!セブン&アイ、新・店頭受け取りECサービスの魅力と改善すべき点!

セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイHD)が今年8月にオープンし話題となった新業態の都市型食品スーパー「コンフォートマーケット中延店」(東京都品川区:以下、コンフォートマーケット)。ここで、同社が新たなチャレンジとして実施しているのが、店頭受け取りECの「FOODロッカーサービス」だ。実際に使用し、使い勝手などをレポートする。

セブン&アイHDは新業態「コンフォートマーケット」で、新たな店頭受け取りECサービスを提供している。店頭には専用ロッカーを28台設置している

未来の業態開発のための
実験的サービスとは!?

 コンフォートマーケットは、セブン&アイHDが、傘下に食品スーパーを展開する企業をすでに複数擁しているにもかかわらず、わざわざ新会社を設立し開業したことでも注目を集めた。この理由について同社は「まったく新しい発想でこれからの消費者ニーズに対応できる店を創造するため」と説明。同店での実験をもとに新たな業態開発を進めるとともに、成功事例はグループ各社に波及させる計画だ。
 そんな同店で注目を集めた取り組みの1つが「FOODロッカーサービス」である。専用アプリで注文、決済すると、店舗で従業員が注文品をピッキングしてくれ、利用者は店内に設置された専用ロッカーで商品を受け取れるというものだ。
 取り扱い品目は生鮮3品、加工食品、日配、酒類などで、専用ロッカーは冷蔵のみの対応のため冷凍食品は扱っていない。注文は前日の22:00から、当日の18:59まで可能。受け取り時間は、注文から2時間以降で、14:00から閉店の22:00までの2時間枠で設定できる。

専用アプリでは「レシピ」と「商品」という2つの軸から商品を選ぶことができるのが特徴だ

作りたいメニューの
材料をまとめて注文

 一体どのようなサービスなのか。論より証拠。実際に利用してみた。
 専用アプリをダウンロードすると、トップ画面上に「レシピ」「商品」という2つの項目が標示される。同サービスはこの2つの軸で商品を選べるのが特徴だ。
 「商品」については、購入したい商品を1品ずつ購入カートに入れていく一般的な方法をと言える。一方の「レシピ」については、アプリ上にさまざまな料理のレシピが掲載されており、選択したメニューに必要な材料がまとめて購入できるようになっている。
 トップ画面には、旬の食材を使ったおすすめメニューが並ぶほか、「人気のレシピタグ」というコンテンツでは、「電子レンジのみ」「10分」「昼ごはん」などの10個ほどの項目からメニューが選べる。多いものでは1つの項目で100を超えるレシピを用意しており、メニュー提案に力を入れている。

「電子レンジのみ」という項目では、フライパンなどの調理器具を使わずレンジアップするだけで完成するメニューを60以上掲載している

メニュー提案機能も搭載

 さらに「おすすめレシピ診断」という機能もある。①作りたい料理、②ジャンル、③調理時間の目安、④こだわりポイントの4つの質問に回答していくと、自身に条件に合ったメニューを4つに絞って提案してくれるというものだ。メニュー数が多いと選びきれないという人にとって便利な機能だろう。
 こうして提案されるレシピが気に入れば、「レシピを材料リストに入れる」を選択する。すると「材料リスト」に必要な食材と調味料が追加される。材料は2人前分で設定されているため、必要分に応じて「+」「-」ボタンでその量を調節できる。
 一方の調味料は、すでに家庭にある場合が多いからだろう。数量はゼロになっており、必要な場合だけ「+」を押す。こうしてすべての食材、調味料の数量が設定できたら「選択した商品をカートに入れる」を押して購入商品のリストに入れるという仕組みだ。

「おすすめレシピ診断」では、4つの質問に回答していくと自身に合ったレシピを4つに絞って提案してくれる
レシピに必要な食材と調味料がまとめて購入できる。すでに家庭にあるケースが多い調味料は、必要な場合だけ「+」を押すという設定になっている

「在庫なし」多数!
当日に欠品の連絡も

 このように2つの方法で商品を選んでいったのだが、ある問題に遭遇する。「在庫なし」と表示される商品が多いのだ。そのため好みのレシピを選んでも必要な食材が欠品しているから再度別のレシピを検索する、という操作を複数回行うことになった。こうしたこともあって実際にアプリをダウンロードし、商品を選択、クレジットカードで決済するまで30分以上の時間がかかってしまった。
 “悲劇”は、これにとどまらなかった。注文翌日(つまり商品受取日)、専用ロッカーを開けるためのQRコードをショートメールで受け取ったのだが、その案内と一緒に「商品の1つが欠品していた」というメッセージが届いたのだ。

 想像するに、注文した前日の段階では在庫があったが、当日のピッキング段階では品切れになっていた、ということなのだろう。予定していたメニューが1品つくれなくなってしまったが、ここで注文を取りやめるわけにもいかず、しぶしぶ承認する返信をした(返信しない場合は注文すべてがキャンセルになる)。こうした在庫状況のアプリへの反映、商品の確保は徹底すべきだろう。

商品一覧では「在庫なし」表示が目立つ
当日には欠品の連絡もあり、在庫コントロールに苦心しているようだ

いよいよ店頭へ!
気になる商品の状態は・・・

 いよいよ商品を受け取るために店頭へ向かう。店頭に設置された専用ロッカーでORコードをかざすと指定の扉が開き、商品の入った袋を取り出すだけで受け取り完了だ。
 購入した商品を見てみると、一品一品包装されていて商品の状態は非常によい。従業員がよく注意を払ってピッキングされたものだと想定される。写真下は買物袋に入っていた納品書で、本来同サービスは1700円(以下、税込)以上注文しないと利用できないが、1品キャンセルとなったため合計金額は1478円となっている。

一品一品包装されていて商品の状態は非常によい
買物袋に入っている納品書

 購入して便利だと感じたのは、店内加工の簡便商品「クイックパン」シリーズの商品だ。私が購入した「牛プルコギセット」(537円)をはじめ4SKUを展開。手ごろな価格で、商品の見栄えもよく、カット済の食材と調味料をフライパンで加熱するだけで1品料理が完成する。アプリ上では、ほかに具材を加えたレシピも紹介しておりアレンジすることでメニューに広がりを持たせることもできそうだ。

店内加工の簡便商品「クイックパン」シリーズの「牛プルコギセット」(537円)

食事の準備の時短を
支援してくれるサービス

 実際に使用してみた感想をまとめると、「FOODロッカーサービス」は、欠品がなく、使い方に慣れさえすれば、店舗の至近に住む有職主婦の味方になるアプリだと感じた。
 アプリで注文さえしておけば、あとは店頭で商品を受け取るだけという利便性はやはり高い。また、メニュー提案を強化しており、アプリ上のレシピや、クイックパンシリーズを活用することで食事の準備の時短や、メニューのバラエティを広げることにも一役買ってくれそうだ。そのほかアプリではクーポンも配信されるほか、店舗、ECサービスでの購入双方のポイントも貯められる(200円ごとに1ポイント)というメリットもある。
 私がこの日訪問・滞在した10月上旬の午後8時から30分ほどの間では、ほかに商品を受け取っている人の姿はなく、未だ多くの利用獲得には至っていないと思われる。各社がネットスーパーや店頭受け取りサービスの提供に力を注ぐなか、メニュー提案強化型のセブン&アイHDの新サービスは今後支持されるのか。同社の挑戦は続いている。