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災害対策をビジネスチャンスに!LIXILビバの「LCP対策」とは?

ホームセンター(HC)業界最大規模の世界会議である「グローバルDIYサミット」。アイルランドの首都ダブリンで開かれた、今年7回目となる年次大会でLIXILビバ(埼玉県)の渡邉修社長がスピーチを行った。渡邉社長は世界のHC企業にどのようなメッセージを伝えたのか。スピーチの内容をまとめた

LIXILビバはBCP(事業継続計画)、CSR(企業の社会的責任)だけでなく、LCP(生活継続計画)対策に取り組む

東日本大震災から得た教訓

 顧客に寄り添うことにより、新しい需要を創造していくこと。これはネット通販(EC)にはできません。いちばん大切な存在であるお客さまの住まいと暮らしのために、リアル店舗を運営する小売業として、われわれには何ができるのでしょうか。

 これまで、LIXILビバは難民支援を行う国際機関UNHCRに協賛し、さまざまな活動を行ってきました。近隣住民の方との連携を目的とするコミュニティの形成、店舗への太陽光パネルの設置や無水トイレ、古紙リサイクルステーションの設置などサステナビリティへの取り組みにも力を入れてきました。

 また、災害時対策として地域住民をサポートするための設備も整えています。2011311日の東日本大震災では、多くの人が津波で亡くなりました。残念ながらLIXILビバも16店舗被災し、従業員が2人死亡しました。しかし、この教訓から災害時にHCとして2つのミッションを見出しました。

 まずは「災害復旧時の資材供給」です。これはすでに世界中のHCがその役割を担っています。2つ目は、「災害への備え」です。それぞれの家庭や企業での備えです。これは、BCP(事業継続計画)、CSR(企業の社会的責任)、LCP(生活継続計画)ともいえるでしょう。

 われわれの店舗はこれらに対応した設備を有しています。BCP対策として、非常用自家発電や非常用給水タンクを設置しています。東日本大震災以降に出店した自社開発店舗にはすべて、充電、飲料水、非常用トイレを設置しました。

 CSRについては、地域行政と手を組み、避難施設としての役割を果たしています。避難所として最大の「スーパービバホーム名古屋南店」は12000人を津波から救うことができます。

LCP対策で新たな市場を創出

 LCPは「ライフ・コンティニュイティー・プラン」の略で、ほか2つと違って、なかなか聞きなれないですが、ぜひ覚えてほしい言葉です。災害時に直接被害を受けなかった大多数の人たちもライフラインがストップすることで、2次災害にあってしまいます。この2次災害に備え、生活を守ることがLCP対策です。

 LCP対策で重要なことの1つとして、電気、ガスなどのライフラインを自ら確保することが挙げられます。18年9月、北海道札幌市は地震により、大規模停電が起きました。その際、お客さまが当店の充電サービスに殺到しました。このとき電気が通じていたのは、市庁舎とわれわれの店舗だけでした。なぜなら、われわれには自家発電機があったからです。LIXILビバでは、自家発電機や簡単に使えるガスボンベなどを、LCP対策として、一般消費者に購入を促しています。

 ECが脅威であることは間違いないものの、リアル店舗でしかできないこともあります。HCは地域の安全と安心を担っています。それに応えることで、お客さまの信頼を勝ち取っていきたいと思っています。