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酒類販売のトレンドが分かる 日酒販が2018年度決算を発表!

日本酒類販売(東京都/田中正昭社長)の2019年3月期決算が明らかになった。単体売上高は、5174億4800万円(対前期比0.3%減)、営業利益は33億9600万円(同11.9%減)、経常利益38億7900万円(同9.1%減)、当期純利益26億2700万円(同20.7%減)の減収減益だった。

大幅な組織変更実施!

 高齢化、人口減少、若者の酒離れなど市場が縮小する中で、人手不足による人件費と物流費高騰に抗う20193月期決算となった。

 同社は、この間、①酒類の公正な取引基準遵守徹底、②ローコストオペレーション強化と働き方改革、③営業体制強化、④物流体制強化という4つの政策を打った。

 2018年4月には大きな組織変更を実施している。

 まず、変化への対応力の強化と効率化を推進するために流通各本部を統括する「流通統括本部」を新設した。

 次に「流通第3本部」は、市場拡大にともない売上高が拡大している「ネット通販営業部」を「第六本部」として昇格・新設し、迅速な対応ができる体制整備を図った。

「流通第3本部」は取組みの強化を図るべく営業部を3分割して、カインズ(埼玉県)担当の「営業二部」、ドン・キホーテ(東京都)担当の「営業三部」、その他のイトーヨーカ堂(東京都)、CGC(東京都)などを担当する「営業一部」を新設した。

 さらには、営業本部内に「営業企画部」を新設。営業推進部の市場分析などを行う機能と営業支援部の営業業務支援を行う機能を統合した。マーケティングリサーチなどを活用した同社の中長期の営業政策・営業企画・物流提案などの企画立案の業務機能を持つ。

 そして、首都圏の各支店にある業務用営業部担当の売上を業務用営業部に移管し支店組織の再構築も進めた。

  7月にはニコラ・フィアット社との取組み強化の一環で国際事業本部営業部販促課内に船員チームを配置し、専用事務所を開設した。


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原発事故を経て、8年3カ月ぶりに再開業を果たす!

スーパー、ダウントレンド継続 

スーパーチャネルでは酒売上のダウントレンドが続いている

 

 単体の商品別売上は下記の通りだ。

【商品別売上(単体)】
清酒         296600万円 対前期比7.9%減
連続式蒸留      2195900万円 同12.7%減
単式蒸留(本格焼酎) 9149200万円 同5.3%減
その他         26700万円 同8.9%減
和酒計        14566600万円 同7.1%減

国産洋酒       8257400万円 同10.2%増
輸入洋酒       4136200万円  同4.0%
洋酒計       12393700万円 同8.0%増

 麦酒         950億円 同1.5%減
発泡酒        1624700万円 同4.6%減
新ジャンル      4356700万円 同8.9%増
ビール系計      15481500万円  同0.9%増

 

 洋酒は、ウイスキーの好調によって好調が継続。ビール系では新ジャンルの伸びが全体を牽引した。

  チャネル別の売上は下記の通り。

【組織小売業のチャネル別売上(単体)】
コンビニエンスストア 5343400万円 対前期比6.4%増
スーパー       11122100万円  同2.1%減
ディスカウントストア 4985400万円  同4.1%増
ホームセンター    171500万円  同2.2%増
ドラッグストア    395300万円  同6.0%増
その他         491400万円  同5.9%

 ネット通販      1301400万円  同3.8%増

 スーパーは漸減トレンドから抜け出せず、逆にコンビニエンスストア、ディスカウントストア、ホームセンター、ドラッグストアは、それぞれ拡大している。

 20203月期の課題として、松川隆志会長は、①和酒の低迷、②物流費の継続的高騰、③10月の消費税増税対応を掲げ、それぞれに「真摯に取り組んでいく」と抱負を語っている。