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フレキシタリアン、ギルトフリー、デジタル活用…… 見逃せない食の10大トレンドとは!?

4月17日から19日、第22回惣菜デリカ・弁当・中食・外食・給食・配食業務用専門展「ファベックス 2019」が開催された。メインテーマ「社会変化がもたらす「食の新たな使命」へ挑戦!!」のもと、各社展示ブースでは、数々の食品提案・メニュー提案・ソリューション提案が行われ、期間中は8万人近い(7万8024名)来場者で賑わっていた。今後の日本人の食に関して、とくに気になるトピックをレポートする。第1回目は、食の10大トレンド!

より食に目新しさや刺激的な体験を求めるようになる!

 食品業界に特化したトレンドリサーチの世界的リーディングカンパニーであるInnova  Market  Insightsで、日本カントリーマネージャーを務める田中良介氏は、ファベックス2019の場において、「TOP TEN TRENDS 2019」を公表した。

1 DISCOVERY:ADVENTUROUS CONSUMER(発見:好奇心旺盛な消費者)
2 THE PLANT KINGDOM(植物由来性食品)
3 ALTERNATIVES TO ALL(代替食品・代替原料)
4 GREEN APPEAL(環境への訴え)
5 SNACKING:THE DIFFINITIVE OCCASION(スナックの新定義)6 EATING FOR ME(自分流の消費)
7 A FRESH LOOK AT FIBER(ファイバーブーム再び)
8 I FEEL GOOD(気持ちいい)
9 SMALL PLAYER MINDSET(食品ベンチャー)
10 CONNECTED TO PLATE(バリューチェーンの透明化)

 順を追って簡単に解説を加える。

 1DISCOVERYとは、「グローバル化が進み、好奇心旺盛となった消費者は、食に目新しさやより刺激的な体験を求め、『発見』がキーワードになる」と言うもの。よりセグメントされた「発見」が求められ、「日本発の逸品」でなく、たとえば「長野県の●●村で100年以上も食べられている長寿の源」といった発見が、消費者に響くようになる。最近では商品パッケージに「DISCOVERY」「発掘」「発見」と入れ込むものも増えている。

 2THE PLANT KINGDOMは「植物性由来食品はまだ伸び続ける。ただし、ヴィーガン、ベジタリアンだけでなく、柔軟な食生活を好む『フレキシタリアン』が主ターゲットになる」。だれしもがヴィーガンのようなストイックな生活はできないことに気づき、多くの人が「肉半分、ヴィーガンミート(代替肉)半分」といったハイブリッドに戻ってくる。「ハイブリッド概念であれば、日本にも定着する可能性がある」と田中氏は見ている。

 3ALTERNATIVES TO ALLは「消費者は健康とサステナビリティを重要視し、あらゆる代替食品や代替原料を求める。味も見た目も妥協はゆるされない」。この市場はまだ立ち上がり始めた市場であり、この勢いに乗るかどうかは、企業の考え方次第だという。

 4GREEN APPEALは「持続可能な地球環境の保全が、今まで以上に企業の責務となるが、その活動自体がマーケティングにつながることを考えるべき」。ビールを絞ったあとの麦芽を栄養価のあるシリアルに加工するとか、食べられるストローを開発するなど、自分たちのビジネスに落とし込むことが重要だ。

 5SNACKINGは「健康スナック革命。現代人の生活習慣に対応させたクリエイティブな健康スナックが、すべての食品と飲料カテゴリーに大きな変化をもたらす」。忙しい現代人をサポートする食の新しい考え方で、「より健康的で栄養価の高いスナック」にするとか、「軽食を手軽に食べられるスナック風に提供する」(たとえば、中東生まれのスーパーフードと言われている「フムス」をビスケットのサンドにしたものがある)といったように、スナックと軽食との境界線があいまいになっている。今後は、軽食をスナック風に仕上げたものや健康面に配慮したスナックへのニーズが高まっていくという。

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食の細分化がものすごいスピードで進む!

食の細分化がものすごいスピードで進む!

 6EATING FOR MEは「テクノロジーや科学の進歩が、次から次へと新たな食や健康の選択肢を与えることになり、食のトレンドはますます個別化する」。これまでのように大きなトレンドばかりを追っていると、消費者の嗜好を見落とすことになる。

 7A FRESH LOOK AT FIBERは「食物繊維に関する新たな健康効果の発見や、斬新な商品のラインアップが消費者の食物繊維需要を刺激し、“ファイバーブーム”が再来する」。いま、食物繊維の新たな効能が注目を集めている。脳の認知機能の回復、アスリートの運動能力の向上に役立つといった効果が認められてきており、エナジーバーやプロテインを組み合わせて、これまでの女性向け市場から、新たなマーケットへと広がり始めている。「この動きは日本にも必ず入ってくる」(田中氏)。

 8 I FEEL GOODは「感情やメンタルを含めたトータルでの健康が大切。ギルトフリー食品(罪悪感を感じない食品)の増加。リラックスや頭の活性化をサポートする栄養成分へ関心が集まる」。商品に栄養面での機能性を入れられるのがベストだが、商品パッケージに「JOY」「HAPPY」などポジティブになれるキーワードを入れるだけでも、消費者の関心を集めることができる。

 9 SMALL PLAYER MINDSETは「スタートアップ企業が食品業界のイノベーションを牽引。大企業もそれに着目し、ベンチャーへ積極的に投資を進める」ということだが、日本ではこれまで遅れをとっていた分野だ。

 10 CONNECTED TO PLATEは「デジタル技術の進歩が、消費者と食を未だかつてないほどつなげ、製造工程やバリューチェーンの透明性を高めている」。食がオンライン化し、食の国境がなくなり、世界中にあっという間に拡散する。ブロックチェーンで食のトレーサビリティを管理することも容易になっている。

 この10のトレンドは、いずれも大きな流れであるが、すべてに同じように対応していくことは難しい。日本の小売業は何から始めればいいのだろうか。

 田中氏は次のようにアドバイスする。

「まず、食の細分化、個別化がものすごいスピードで進んでいることに気づくこと。代替食品、スナックの再定義、新市場向けファイバー、ポジティブなメッセージの発信など、どれから始めるか、どの波にのっていくかは、個々の企業で考えていくこと」

 また、日本のメーカーの中には、まだ日本の言葉に訳されていないようなフレッシュなトレンドワードに着目し、トレンドを見越して商品の開発を進めているところもあるという。そういうメーカーといっしょになって取り組むというのも、ひとつの考え方だ。