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JINS、タイガー魔法瓶、昭和西川などがコラボするパリ発「PAPIER TIGRE」とは

一般的な認知は高くないにも関わらず、多くのブランドやメーカーとのコラボ商品を展開するフランス・パリ発のプロダクトブランド「PAPIER TIGRE(パピエ ティグル)」。コラボレーションを実現可能にする理由について、広報担当の中山千明氏に話を聞いた。

PAPIER TIGREのファン層に、日本の大手メーカーが注目

虎のイラスト入りの水筒がタイガー魔法瓶とのコラボ商品

 二匹の虎のポップなイラストが描かれた魔法瓶が、SNS上で話題になった。日本の老舗メーカーであるタイガー魔法瓶と、フランス・パリ発でステーショナリーを中心にプロダクトを展開するPAPIER TIGREとのコラボレーションによって生まれた商品だ。  

 PAPIER TIGREの広報を担当する中山千氏は、このコラボレーションが実現した背景を、「今年が寅年ということで、当社と同じく虎をアイコンとしているタイガー魔法瓶さんとコラボできたらおもしろいのではと思い、話を持ちかけた」と説明する。

 PAPIER TIGREというブランドの名前を初めて聞く人は多いかもしれない。2012年にデザイン関連の仕事をしている2人のクリエイターがフランスで立ち上げたプロダクトブランドだ。「PAPIER TIGREはフランス語で‘紙の虎’を意味する。水に濡れると破れやすいもろい紙が、自分たちのデザインを載せることで強いものに変わるという意味合いでつけられた」(中山氏)

 一般的な認知度が高くないにも関わらず、多くの日本のメーカーやブランドとコラボレーションを行っている。もっとも話題になったのは2018年に行ったメガネブランドのJINSとのコラボで、JINS側からの提案で実現。36型のメガネを発表して話題を呼び、数ヶ月で完売したという。

さまざまな企業がPAPIER TIGREと組む理由

昭和西川とのコラボ商品

 PAPIER TIGREとのコラボレーションに至ったブランド、メーカーはヨーロッパで50以上、日本国内・アジアでも30を超える。寝具メーカーである昭和西川とは長期的に関係を続けており、シーズンごとにブランケットやシーツなどをリリースしている。

 さまざまな企業がPAPIER TIGREと組むのはなぜだろうか。担当者は次のように答えている。

 「個人的に好きだったというのがきっかけだが、当社には全くなかったテイストで、新たな取り組みとして価値があると思った。ファブリックに落とし込んだ時にとてもかわいいデザインになると感じたことも大きな理由。コラボによって今までにやっていない方法を試すこともあり、新しいノウハウが得られるなど思わぬ収穫もあった。社内では特に2030代の女性には好評だが、逆の反応もある。インパクトのある商品、今までにはないものを作ろうとしているのでこれは自然なことだと捉えている」(昭和西川)

 「当社だけではアプローチが難しい若年層に、真空断熱ボトルの機能性を感じてもらえる機会だと考えた。また、PAPIER TIGREの世界観の中では、当社のボトルをまるで文房具の1つのように選べるという楽しさもある。オフィスやテレワークのデスクまわりを、文房具とともに鮮やかに彩る役割になればと思った。今までにないデザインとして、社内の人気も高い」(タイガー魔法瓶)

 創業者がデザインに携わっていることもあり、フランスを中心としたヨーロッパでは、デザイン性の高いプロダクトとして認識されている。主なターゲット層は、デザインやインテリアなどに関心の高い30代の女性だという。そのため、こうしたファン層に興味をもつ、他メーカーやブランドからコラボレーションの提案を受けることも多い。PAPIER TIGREとのコラボレーションによって、フランスでの認知度を上げられる点もメーカーやブランドにとってはメリットとなっている。

 日本拠点の社員は3名という少数精鋭の体制で、コラボ商品のデザインは本国パリのデザイナーがつくったものをアレンジすることが多いが、タイガー魔法瓶とのコラボでは、日本側でデザインをハンドリングしたという。

コラボ商品によって、自社商品のラインナップを増やせる

広報担当の中山千明氏

 もちろんPAPIER TIGRE側にもメリットがある。「PAPIER TIGREで展開するのはステーショナリーやファッション中心のプロダクト。違う分野の商材をもつメーカーやブランドとコラボレーションをすることによって、商品ラインナップを増やすことができ、PR効果もある」(中山氏)

 PAPIER TIGREは日本以外でも積極的にコラボレーションを行っている。フランス国内であれば、マクロン大統領の住むエリゼ宮やオランジュリー美術館、台湾ではペットアイテムのメーカーとの実績などがある。

 直営店は現在、パリと東京(日本橋浜町)のみ。「直営店舗の2店舗目が東京である理由は、創業者が日本好きだから。また、質がよくて価格の安い文房具が多く存在するため、文房具業界において重要な国だと位置づけている」(中山氏)

 直営店舗では自社プロダクトからコラボ商品まで販売している。ワークショップやイベントなども頻繁に開催しており、「コラボ商品やSNSをきっかけにPAPIER TIGREを知って、来店する方が多い。ECショップも運営しているが、直営店は東京だけなので遠方から来る人もいる」と中山氏は話す。

 PAPIER TIGREの公式Instagramのフォロワーはフランスでは100万人、日本では15000人だ。

 「今後も、他メーカーやブランドとのコラボレーションを絶やさず、SNSを活用しながらPAPIER TIGREの認知を広げていきたいと考えている」(中山氏)

東京・日本橋浜町の直営店舗外観