アークランドサカモト(新潟県/坂本勝司社長)が、2013年2月期第2四半期決算と通期決算の見通し(連結)を発表した。ホームセンター(HC)事業の既存店が不振だったため、売上高は計画未達だったが、下期は新店効果が積み上がり挽回できると見込んでいる。経費を抑えて手堅く利益確保をめざすが、出店戦略は専門店化の色彩がより濃くなる。
既存店売上高は計画を大きく割り込む
第2四半期までの累計売上高は491億8700万円で、前期比で0.1%の増収ながら、期初の計画対比で97.1%と計画未達に終わった。営業利益(47億5300万円)は4.8%、経常利益(51億600万円)は3.3%の減益だったが、それぞれ計画に対しては106.8%、108.6%で、当期純利益(27億8700万円)は8.4%の増益、計画達成率は114.7%だった。
事業別では小売事業のみ売上が対前期比マイナスで、その営業利益は同20.3%の大幅減。主因はHC事業の既存店売上高の不振および、前期のHC新店2店舗(貝塚店と高岡駅前店)の計画未達だ。
既存店売上高の対前期比は8.0%減で、期初に見込んだ3.7%減を大きく割り込んだ。内訳は客数が同6.0%減、客単価が同2.1%減だった。
既存店の苦戦要因は、震災特需の反動に加え、天候不順による春、夏商戦の遅れが大きいとしている。特需の反動はとくに問題視しないが、「例年より特売チラシの効果が出ず、節約志向による購買動向の薄れにお客さまの動向の変化を非常に感じた」(坂本雅俊・代表取締役副社長兼管理本部長)と、その消費動向を気にする向きがあった。
もっとも、震災特需がない前々期と比べれば全体で8.5%の増収で、経常利益も38.1%の大幅増益。とくに売上総利益率は、前々期から33.3%、34.2%、35.4%と着実に上がっている。ここでHC事業の品目別売上動向を見ていくと、DIY・補修用品がプラス0.9%、家庭用品はマイナス9.2%、カー・レジャー用品はマイナス8.2%で、園芸用品はプラス1.2%。減収でも売上総利益率が高い分野が健闘し、売上総利益率の改善につながっていることがわかる。
したがって、課題はむしろ売上高販管費率の低減にある。そのため下期は「経費を抑えて利益確保」という手堅い経営で、経常利益率10%を常に確保できる安定的な経営体制の構築をめざす。
長野南店に「アークプロ」業態を併設
通期の見通しは、売上高1000億円(4.9%増収)、営業利益80億円(4.9%減益)、経常利益85億円(5.1%減益)、当期純利益43億5000万円(1.6%増益)。内訳で小売事業のHC売上高を0.6%、小売事業の営業利益を5.1%減額修正したものの、全体では期初の見込みの数字を変えていない。
それは「下期でまだ十分、挽回できる」(坂本副社長)とみているからで、8月末に2900坪に大幅増床した金沢南店がフルに貢献するほか、10月下旬に長野南店(長野県)、11月下旬に丸岡店(福井県)という、共に2700坪の大型新店がオープンし、2店舗5400坪分、合計売上14.5億円の新店効果が加わる。
去年ほどの豪雪でなく、宮城県の2店舗の売上回復を前提にHCの下期の既存店売上高がプラス3.6%になれば、通期ではマイナス2.7%で、期初計画のマイナス2.3%に近づけると見込んでいる。同時に好調な外食事業、不動産事業が、売上・営業利益ともに期初計画に対して上ブレする見込みだからだ。
今後の戦略について、HC事業では、既存店の増床・専門化、専門店テナントの誘致など「専門業態へのさらなる深耕」を引き続き追求する。園芸部門、アウトドア部門、資材館、アート&クラフト専門店の充実を図るほか、前期に早朝営業を始めて業績好調なプロショップ部門は10月開業の長野南店に「アークプロ」業態を併設する。ペット部門は300~400頭の生体を集めた大規模イベントを仕掛けており、トリマー等の充実で顧客を囲い込んで、業績は前年比で20%程度、伸びている。
また、インターネット通販事業は9月にメーカーとタイアップのサイト「カナモン」を立ち上げている。
来期の出店計画は、春に新潟県上越市に1700坪、新潟市に2700坪と、秋に3000坪クラスでもう1店舗。加えて1500坪クラスの小型専門店の出店も構想しており、プロショップ単独店の出店も視野に入れている。
アークランドサカモトの「専門業態の確立」という方向性は、より明確になりそうだ。