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デリッシュキッチンと提携した伊藤忠食品がめざす“付加価値型ビジネスモデル”とは

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伊藤忠食品(大阪府/岡本均社長)は、2020年度からの中期経営計画「Transform2022~領域を超えて~」において、「売場づくりへの貢献度向上」を目指す姿の一つに掲げている。人口減少や超高齢化社会などによる市場の変化を念頭に、「卸売業の次世代化」を支える事業基盤を構築するねらいだ。同中計などに据えるのが、食品スーパー(SM)の売場にデジタルサイネージを設置し販促をサポートする、サイネージ事業だ。同事業の責任者である、取締役常務執行役員兼商品本部本部兼リテール本部本部長の福嶋義弘氏に、ねらいを聞いた。

エブリーと提携した背景

 伊藤忠食品は19年7月、レシピ動画メディア「DELISH KITCHEN(デリッシュキッチン)」を運営するエブリー(東京都/吉田大成社長)と資本業務提携を結んだ。伊藤忠食品はエブリーとの提携のもとでサイネージ事業を強化し、新たな価値を創出しようとしている。

AIカメラが取り付けられたデジタルサイネージ

 伊藤忠食品が、デリッシュキッチンをサイネージ事業のパートナーとして選んだ理由は、SMに来店する消費者のニーズに沿ったレシピ動画を制作しているからだ。コンテンツを訴求する顧客層は、“献立難民”と呼ばれる、夕食のメニューを決めずに、SMに買物にくる消費者。SMの売場でも、デジタルサイネージを通してレシピ動画を放映するケースが珍しくないが、デリッシュキッチンはとくに、「管理栄養士がすべてのレシピを監修」していて安心・安全なレシピを提供するという点で、他のレシピ動画サービスと差別化を図っている。また、デリッシュキッチンは約5万本という数のレシピ動画のコンテンツを抱えている。伊藤忠食品にとっては、他社よりも多くのレシピ動画を制作していることで、メーカー・小売への関連販売の提案がしやすい、という利点もある。

取締役常務執行役員兼リテール本部本部長の福嶋義弘氏

 伊藤忠食品の福嶋氏は「SMに買物に来る消費者の約8割が“献立難民”だと推察している。『今日の献立は何にしようかな』と考えているお客さまに向けて、レシピ動画を放映し、買物のヒントを与える。最終的には、メーカーの商品と小売の生鮮3品の買い上げ金額アップをめざしている」と話す。

 そもそも、なぜ伊藤忠食品はサイネージ事業に参入したのか。同社の福嶋氏は

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