ファミリーマート(東京都/細見研介社長)は2023年2月期から3カ年の新・中期経営計画において、「コンビニエンスストア(CVS)事業の基盤を活用した新規ビジネスの拡大」を大きく打ち出した。この新規ビジネスのうち、本格的に動き出しているのが、店舗を活用した広告・メディア事業である。その中核事業会社の1つとして新たに設立されたゲート・ワン(東京都/蔵田一郎社長)幹部に、その事業戦略を聞いた。
中核会社2社で連携し、スピーディに事業を推進
近年、リアルとデジタルを横断したマーケティング施策の重要性が高まっている。こうしたなか先進的な米国の小売業では、消費者との多くのタッチポイントを持つ店舗を“メディア”として活用した広告事業を立ち上げ、新しい収益モデルの構築を図る動きが見られる。
そんななかファミリーマートも、全国に約1万6600店の店舗ネットワークを持ち、1日で約1500万人が来店する消費者接点を生かすべく21年9月、デジタルサイネージを活用した広告・メディア事業を展開するゲート・ワンを、親会社である伊藤忠商事(東京都/石井敬太社長)と共同で設立した。
同社は全国のファミリーマート店内にデジタルサイネージ「FamilyMartVision」を設置し、商品やサービスの宣伝や、エンタメ情報、地域ニュースなどの映像コンテンツを配信することを主な事業内容とする。
同社に先駆けてファミリーマートと伊藤忠商事は20年10月、NTTドコモ(東京都)、サイバーエージェント(東京都)の計4社で、新会社データ・ワン(東京都/太田英利社長)を設立。4社の強みを生かして小売業者が保有するデータを活用したデジタル広告配信事業ならびに広告代理店事業を展開している。このデータ・ワンがデジタル広告代理店となり、ゲート・ワンはその媒体者としてサイネージ設置店舗の拡大や、ターゲティングメニューの拡充に取り組んでいく方針だ(全体図参照)。
ファミリーマートは新・中計で、今後の成長戦略として「CVS事業の基盤を活用した新規ビジネスの拡大」を掲げ、「金融」「広告・メディア」「デジタルコマース」の3つの領域で事業を拡大させるとしている。このうち「広告・メディア」事業を中核となって進めるのがデータ・ワンとゲート・ワンであり、今ファミリーマートが新規ビジネスのなかで最も加速させている注目の取り組みと言える。
現在、リアルでもデジタルでも多くの広告媒体が乱立している。そうしたなか、ファミリーマートの店舗を活用した広告事業の強みについてゲート・ワン取締役COOの速水大剛氏は
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