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「New GMS」好調のPPIH、 小規模改装で改革スピード加速へ

 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都/吉田直樹社長CEO:以下、PPIH)の2022年6月期第2四半期(21年7月~22年1月)決算は、売上高が9177億円と対前期比7.6%増加したものの、営業利益は同11.5%減の436億円、経常利益は同7.6%減の445億円、当期純利益は同7.6%減の301億円と増収減益だった。

第2四半期単独では
売上高、営業利益は過去最高

 売上高については、21年6月期第4四半期より連結を開始した米国カリフォルニア州の高級スーパーマーケットのゲルソンズ(Gelson’s)の業績が加わったこと(売上高428億円、営業利益36億円)、国内外での計15店の新規出店や、ユニー(愛知県/関口憲司社長)店舗の業態転換などが貢献した。

 営業利益については、第1四半期は感染症拡大や天候不順の影響で落ち込んだものの、第2四半期単独では対前期比14億円増となり、四半期ベースで売上高、営業利益ともに過去最高だった。主力のディスカウントストア(DS)事業を中心とした既存店の回復や粗利率の改善が主な要因となっている。
 PPIHは22年に入ってからも好調を維持しており、1月の既存店売上高・対前年同月比は、DS事業が1.6%増、GMS事業が1.2%増だった。

 セグメント別業績では、全体業績をけん引したDS事業は、売上高が5532億円(同244億円増)、営業利益が171億円(同19億円増)、既存店売上高は同0.9%増だった。
21年9月の緊急事態宣言解除以降の人流の増加や、化粧品や酒類などの商品政策(MD)強化、ハロウィンなどのイベント需要の取り込みにより業績が伸長。また、今期の重点施策であるプライベートブランド(PB)の強化などにより、粗利益率も前年同期比0.3%増と改善している。

GMSは減収減益も
コロナ前を超える水準で推移

 総合スーパー(GMS)事業は、ユニーの売上高が対前期比4.8%減の2441億円、営業利益が同32.5%減の120億円と減収減益だった。店舗の閉鎖や、天候の影響による衣料品の売上不振などが主な要因だが、第2四半期には徐々に回復せており、既存店売上高は第1四半期の同1.9%減から、第2四半期には同0.5%減となった。また、コロナ前の19年第2四半期累計との比較では、既存店売上高が同2.1%増となっている点も特筆しておきたい。

21年3月に「New GMS」へ改装した「アピア稲沢店」(愛知県稲沢市)

 19年1月にユニーがPPIHグループに連結入りして約3年が経過した。21年6月期末は、営業利益が連結前の217億円を大幅に上回る290億円で着地しており、GMS改革の成果を上げている。

 「ドン・キホーテ」とのダブルネーム店舗への業態転換に伴う、UDリテール(神奈川県)への店舗移管によってユニー全体店舗数は減少している。しかし「1店舗あたりの売上高、営業利益は増加している」(ユニーの関口社長)という。

 ユニーは21年6月期からは、既存店をUDリテールに移管せず、ユニーのもとに残して再生させる「New GMS」業態への転換に力を入れている。22年6月期第2四半期では3店舗で実施。そのうち、「ピアゴパワー西城店」(愛知県名古屋市:21年7月改装オープン)では、自転車と小型家電の直営専門店を導入して、改装後の8月~12月の店舗売上高が前年同期比で24.1%増に伸長した。

 また、21年11月に新装オープンした「アピタ浜北店」(静岡県浜松市)では、ドラッグストアや生活雑貨の直営専門店の導入に加えて、食品の品揃えの拡充、衣料品売場での若年層への対応強化などにより、21年12月の店舗売上高は改装前の10.5%増と、大きな成果を出している。

PB売上高は2500億円へ
家電や自転車、コスメなどを拡充

 PPIHの第3四半期以降の主な重点施策については、DS事業では、プライベートブランド(PB)商品のさらなる拡充を進める。PB商品は、21年2月のブランドリニューアル以降、すでに約1100SKUを導入。21年12月時点での全体に占める売上高構成比は14.6%まで上昇し、粗利率は0.4%近い改善効果をあげている。今期グループ全体でめざす目標である、PB売上高2500億円の達成にも着実に近づいているという。

21年2月のブランドリニューアル以降、開発したPB商品はすでに約1100SKUに上る

 今後は、大型家電や電動自転車のほか、コスメ、アロマなどの買回り品の商品開発を推進する。とくに家庭雑貨やカー用品などのカテゴリーは、PBの売上高構成比を50%まで引き上げていく計画だという。

 GMS事業では、これまでより小規模での「New GMS」業態への改装を実施する。そうすることで改装スピードを加速させ、既存店全体の競争力向上を図りたい考えだ。

 海外事業は、北米事業のゲルソンズの連結効果のほか、既存の事業も好調に推移し、22年6月期第2四半期売上高が1259億円(前年同期比547億円増)、営業利益が80億円(同24億円増)と増収増益を達成している。今後は、国産の“ジャパンブランド”商品を武器に支持拡大を図りつつ、とくにアジアでの積極出店を進める。

 通期連結業績予想は、期首予想からの変更はなく、売上高は対前期比9.4%増の1兆8700億円、営業利益が同4.6%増の850億円、経常利益が同1.9%増の830億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同7.2%増の576億円を見込んでいる。