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第1回『小売業 キーパーソンに聞く!』第3部
インタビュー「スーパーサンシ 今後の展望」

インタビュー スーパーサンシ 今後の展望

スーパーサンシ株式会社
常務取締役 NetMarket事業本部長 
高倉 照和 氏

聞き手:『ダイヤモンド・チェーンストア』編集部 大宮弓絵

 

第3部では、スーパーサンシ常務取締役NetMarket事業本部長の高倉照和氏に、第1部の内容を踏まえたインタビューを行った。事前に、質問項目を食品メーカーや卸業を対象に募り、「①ネットスーパーの利用動向」、「②販売戦略」、「③オペレーション」、「④店舗と宅配におけるそれぞれにおける役割」の4つのテーマで話を伺った。

ネットスーパーで冷凍食品や総菜が伸長

ネット宅配を行うスーパーサンシは、客の細かいオーダーも受け付けている。例えば、脂身が多い部分と少ない部分を組み合わせた肉の特注パックなど、細かな要望に対応した上で、朝に承った注文は夕方までに配送する。

宅配ネット利用者の購入頻度と購入単価は、ネットスーパーの形態によって様々だが、同社はサブスクリプション(月会費)制で会員を募っているため、一般的なスーパーの買い出しと同様、週2回ペースを主としている。毎日必ず利用するヘビーユーザーも少なくない。ネットスーパーといえばかつては水や米など重い商品が買われていたが、現在は冷凍食品や、帰宅してすぐに食べられる総菜などが伸長している。

ネットは双方向かつワンツーワンのコミュニケーションが可能だ。同社が宅配会員向けに展開している 「なんでもサポート」では、客の困りごとをヒアリングし問題解決に務めている。「日本は高齢社会ですから、ご高齢者のお悩みに寄り添い生活を丸ごと引き受けていきたい」と高倉氏は話す。

「まとめ買い」を誘発する販促はご法度

ネットスーパーの需要喚起についてどのように工夫すべきかとの問いに、高倉氏は「まとめ買いを誘発しないこと」と話す。まとめ買いを目的とすると、消費者は箱入りの水や米など、重量の重い買い物に走ってしまい、値引きロス、廃棄ロスが一切無く粗利アップが見込める生鮮食品の購入を避けるようになる。大切なのは、企画を充実させて客の購買意欲を誘う販促を行うことだ。なぜなら実店舗よりネットの方が断然、販促に向いているからだ。例えば、店舗で販促すると、POPを一枚置くのが関の山だろう。一方、ネットであれば、スクロール機能を使って膨大な情報を掲載できる。生産者の顔が見える動画を挟むことで、商品の物語を情感たっぷりに伝えることも可能だ。

なお、ネットスーパーを退会する2大理由は、「商品の欠品」と「キャップ」。一週間前に受注する生協の宅配は、欠品率もキャップも低いため長く愛されている。この2大理由を克服しないことには、生協をはじめとする大手に勝つことは難しいだろう。

黒字化ポイントは自社配送すること

ネット宅配で黒字化するためには、一件あたりの配送コスト(物流費)をいかに下げるかがカギとなる。理想は、ピッキング、物流配送、合わせて10%以内にオペレーションを行うこと。しかし現状、ネット宅配を手がける企業の9割以上が種まき方式のピッキングを行っている。ピッキングとは、箱を一箇所に置いて人が商品をピックアップして箱に入れるシステム。一見、スムーズなようで、スペースを要する上に人の移動距離も増えるため効率が悪い。一方、高倉氏が推奨するのは、レーン方式。人が動くのではなく箱が動くイメージだ。これであれば、スペースを取らず、なおかつスピーディに商品をピックアップできる。

ネットスーパーを成功させるためには、本流のネット宅配に力を入れることだ。いずれ淘汰されないためには、将来的に1店舗1000万円以上はネット宅配のみで売り上げる必要がある。

よく「店の補完」として、実験的にネットスーパーを始める企業があるが、非常に危険である。富士山を登る際、実験的にサンダルを履いて登れば、ケガをするか遭難するだろう。最初から登山靴を履き、フル装備で望むことで、厳しい戦いに勝ち抜くことができる。

こうした成功ノウハウを高倉さんは、10社以上の有力スーパーに提供してきた。今後の展望は「外資や大手スーパーによる“ネット攻勢”から加盟企業様をお守りし、ネット商圏を制圧し勝ち組になってもらうこと」。ひいては日本の食文化を活性化させたいと意欲を見せている。

各プログラムの詳細

下記画像リンクから、各プログラムの詳細をご覧いただけます。