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第2四半期は増収・減益のツルハHD 鶴羽順社長が語ったデジタル戦略とは

ツルハホールディングス(北海道:以下、ツルハHD)の2022年5月期第2四半期(上期)業績は、売上高は対前期比2.0%増の4625億円1200万円、営業利益は同18.9%減の227億円900万円、経常利益は同20.1%減の226億円2200万円、四半期純利益は同23.2%減の127億円3900万円だった。

札幌市内のツルハドラッグ

既存店苦戦で売上高は計画未達に

 ツルハHDの2022年5月期第2四半期(上期)業績は、巣ごもり需要の反動減や季節品の不振で売上高は計画未達となった。売上総利益も伸び率が低く推移し、販売費及び一般管理費(販管費)は出店経費ほかの要因により例年通りの伸びとなったため、営業利益は18.9%減となった。

 また、第2四半期までに70店舗を新規出店した一方で、不採算の31店舗を閉店。調剤薬局は45店舗を開局した。さらに120店舗の既存店で改装を実施した。

 商品部門別の売上高については、「医薬品」は引き続き調剤が好調で、粗利益率も薬価交渉が妥結し前年に近い水準まで回復した。一方、一般用医薬品はワクチン接種の副反応対策として解熱鎮痛剤の需要が増加したものの、かぜ薬、ドリンク剤が前年割れの状態が続いた。「化粧品」については、一般化粧品、制度化粧品ともに季節品等の不振で前年割れとなった。一方で、「食品」については第1四半期からの高い伸びが継続している。

デジタル化粧品台帳の導入をスタート

 以下、決算説明会における鶴羽順社長の発言を抄録する。

ツルハホールディングスの鶴羽順社長

鶴羽社長 下期の取り組みについて、まずはデジタル戦略から説明したい。集計業務の自動化・顧客管理業務の省力化を推進する「デジタル化粧品台帳」は期初から導入を開始している。第1四半期は約200店舗に導入して、運用方法や技術的な面の改善を行ってきた。ある程度めどがついたので、現在は1300店舗ほどの店舗に導入を進めている。

 これにより化粧品担当者の業務効率化を進め、接客時間を創出して売上増、新会員獲得につなげたい。デジタル化粧品台帳によって、今までのメーカー軸ではなく顧客軸の管理になり、よりお客さまに寄り添った接客が可能となる。また、データ化によってお客さまの情報が全店でも分かるようになり、お客さまが別の店舗に行かれた場合でもきめ細かい対応が可能になる。そのほか、お客さまの購買履歴データの活用や、お客さまの商品使用サイクルの把握、化粧品担当者以外のスタッフがお客さまに対応しやすくなる効果が期待できる。

 シフト作成支援システムだが、こちらは事業会社のツルハ(北海道)、レデイ薬局(愛媛県)ですでに全店導入している。続いてくすりの福太郎(千葉県)、ドラッグイレブン(福岡県)に導入を進めている最中だ。こちらはシフト作成時間の短縮はもちろんのこと、残業時間やパート・アルバイトの勤務時間の適正化、“見える化”によって店舗間格差のばらつきの改善につながる。月次ではなく1日単位の人時管理で人件費コントロールの効果を出していきたい。

 公式アプリは現在505万ダウンロードになった。今期末700万ダウンロードの目標に向けて、アプリ会員獲得を促進していく。同時に、ワン・トゥ・ワンマーケティング施策のためのデータベース構築を進めている。下期はお客さまの属性に合わせたリコメンドの成功体験を積むことを目標としている。具体的にはお客さまの属性を8種類に分類して、それに合わせたアプローチを行っていく。

 一方で、直近の来店日と来店頻度からお客さま分類を判定して、来店頻度が落ちているお客さま、または会員から離反の可能性があるお客さまに対して、来店を促進する施策をスタートする。下期に実証実験を重ね、来期の上期をめどに自動化をして全店で可能になるよう精度を上げていく。

精肉・青果、100円ショップ導入で客数が8~12%伸びる

鶴羽社長 次に利便性向上への取り組みについてだが、引き続き既存店への精肉・青果の導入、100円ショップの導入を進めていく。

 精肉・青果の導入はすでに859店舗、100円ショップの導入はツルハとツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本(広島県)を中心に52店舗となった。それぞれの導入店舗はおおむね8〜12%ぐらい客数が伸びている。このようにカテゴリーを追加して買物目的を増やし、客数を上げる施策を引き続き行っていきたい。

 Eコマースに関しては、11月に配送拠点を関東に一つ増やした。まだ稼働したばかりのため、本格的な販促の強化は年明け以降になる。リアル店舗との融合戦略、店舗拠点、店舗在庫を活用したサービスなども引き続き検討したい。

 プライベートブランド(PB)戦略は「くらしリズム」を中心に展開を拡大している。今期末の計画は「くらしリズム」で850SKUだが、現在795SKUと、開発のほうは予定通り順調に進んでいる。また、各事業会社への導入も今期の課題として進めてきたが、全事業会社がほぼ全品導入ということで順調に導入が進んだ。PB全体の売上目標は通期で700億円を計画している。上期は大手食品メーカーとのPB開発が進んだ。今後も大手食品メーカーとの共同開発を積極的に進め、拡大していきたい。

 最後に、調剤については今期は91店舗を開局する計画だ。調剤では引き続き業務効率化に取り組むとともに、薬剤師の教育に力を入れていく。決算説明会資料に記載したとおり、当社の薬剤師が日本薬局学会学術総会優秀演題を受賞した。今後も当社薬剤師の専門性の向上を社内外に発信し、薬剤師のモチベーションアップはもちろん採用活動にもつなげていきたい。