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●Case Study● |
コーナン商事(大阪府/疋田直太郎社長)は、プロ市場の深耕を進めている。その中、ドミナントエリアの強化、また都市部での出店をねらい、力を入れる戦略フォーマットが「コーナンPRO ワーク&ツール」である。その最新店となる本庄西店に足を運び、店づくり、品揃えの工夫、取り組みをレポートする。(本誌:森本守人)
キタから近い都市部立地
コーナン商事が初めて出したプロショップは、2001年の「コーナンPRO 東淀川菅原店」(大阪府大阪市)。プロの需要に応える品揃え、サービスを追求した店づくりにより多くの利用者獲得に成功した。
以来、徐々に出店を進めると同時に、出店範囲も拡大した。08年に東海、11年東北、12年関東といったように、新たなエリアにも積極的に進出。直近の19年2月期末現在、プロショップは71店を数える。
このうちドミナントエリア強化のために活用するフォーマットが、小型店の「コーナンPRO ワーク&ツール」で、現在単独店2店、併設店2店の4店がある。併設店では12年8月出店の1号店の東大阪菱江店とその次の茨木店、単独店では茅ヶ崎店(神奈川県茅ヶ崎市)と徐々に店数を増やしてきた。
最新店は、18年11月7日にオープンの「コーナンPROワーク&ツール本庄西店」である。売場面積は約1000㎡未満(約300坪)。
今回、最も注目すべきは立地で、JR大阪駅から直線距離で北東1・5㎞の場所にある。大阪駅周辺はキタと呼ばれ、企業のオフィスや百貨店はじめ商業施設が集中。ミナミとともに大阪を代表する繁華街として知られる。つまりコーナン商事がワーク&ツールの出店先として、初めて都市部立地にチャレンジしたのが本庄西店というわけだ。
同フォーマットの開発から携わる、PRO営業部PRO業態開発グループの八坂健一郎マネージャーは「今後、出店余地のある都市部でも活用できるよう、新しいスタイルのフォーマットを確立したい。結果が出れば、関西だけでなく、その他職人の多い地域でもプロショップを広げることができる」と意気込みを見せる。
さてコーナン商事では現在、19年2月期を初年度とし3年間を期間とする第二次中期経営計画に取り組んでいる。それによれば期間中、50店の新規出店を行う方針。19年2月期は、従来と比べ約2倍の水準となる22店。うちプロショップは半数の11店で、同社がプロマーケットを重視していることがわかる。
実際、同社のプロ事業は好調に推移する。ここ数年、毎年対前期比10%前後で推移。19年2月期は台風はじめ災害による需要増があったこともあり、全店ベースで対前期比2ケタ増での着地を見込む。
PRO営業部の林典秀部長(執行役員)は「訪日外国人観光客の増加に伴う、ホテル、民泊需要の拡大、また、20年の東京オリンピック、25年の大阪万博などを背景に、今後もプロ市場は開拓余地が大きいとみている」と話す。
視認性の高い各売場
コーナン商事が展開する小型プロショップフォーマット「ワーク&ツール」として、初めて都市部立地にチャレンジした本庄西店。どのような店づくり、品揃えにより、集客を図っているのだろうか、その取り組みの実際を紹介する。
立地とともに、本庄西店を大きく特徴づけるのは、コーナンPROとしては初めての2層吹き抜けを採用していることだ。八坂マネージャーは「都市部にあるため、坪当たりの賃料は郊外立地と比較し倍以上。そのため2階建てにすることで、売場面積に対して賃料を従来並に抑えるねらいがあった」と明かす。
ただ売場が2層となると、お客はどの商品がどこにあるのかを把握しづらくなる。この問題を解消するため、取り入れたのが吹き抜け構造。さらに随所で、商品カテゴリーを大きく記した表示を配置することで各売場の視認性を高めた。入口すぐの場所からは、「建築金物」「電設資材」「接着剤・塗料」といった文字が自然と目に入ってくる。また天井も高く、開放感も感じられる。
その上で、来店客が買い回りしやすい売場配置、品揃えを行った。入口から奥へと伸びる主通路周辺には、お買い得商品のほか、ドライバー、レンチ、ペンチはじめ購買頻度の高い商品の売場を集積、利便性を高めている。
主通路の左側には、工具売場を配置。小型店ではあるが、電動工具については、マキタをはじめ、職人からの支持が強いメーカーの製品を多く取り揃える。「小型店でも、プロがこだわる商品については、大型店に負けない品揃えをしている」(八坂マネージャー)。
一方、主通路の右側には、入口に近い順に接着用品、塗料用品、建築金物の売場を構えている。高さ2400㎜のゴンドラを採用することで、常時多様な商品を陳列。コンパクトな店ではあるが、品揃えについては、総じて好評を得ている。
脚立やアルミ材などの売場も1階にある。吹き抜け構造であるため、規模の小さい店舗であっても、店内に長尺商品を置けるメリットは大きい。
ゴンドラエンドや通路沿いの目立つ場所では、高機能でデザイン性のよい商品を露出している。高単価な商品をアピールすることで、売上向上をめざす取り組みでもある。
計画比3割増と好調に推移
2階には、作業衣料や電設資材、水道用品の売場を設ける。「購買頻度の高い商品群は1階、2階には目的来店性の高いカテゴリーを上げた。じっくり時間をかけ、選んでもらえる買物環境を意識した」(八坂マネージャー)。
2階すぐの場所にある作業衣料売場では、トレンドとなっているデザイン性の高いカジュアルな衣料、またアンダーウエアも多く扱う。隣接する壁際の安全靴売場では、カラフルでファッション性の高い商品を豊富に陳列。また女性向けシューズもコーナーを設けるなど、選択しやすい売場づくりを行っていた。
近年、作業の安全性や危険防止といった観点が重視されつつあるのを受け、関連商品を強化。飛散物から目を防御するメガネのほか、高所作業時の落下から身を守る安全帯といったカテゴリー、商品群については、とくに売場を拡大していた。
2階の奥には、電設資材、また水道用品の売場がある。いずれも需要の高いカテゴリーであるため、この配置には反対意見もあったが、最終的に現状の位置に落ち着いた。1階からこれらの売場の表示が見えるようにしたこともあり、来店客は迷うことなく売場を利用しているという。
品揃え、売場づくりの取り組みの一方、都市部フォーマットとして、効率的な店舗運営も工夫する。1つはレジの集中化である。これまで出した2層の店舗では1、2階ともにレジを設けていたが、本庄西店では入口すぐの場所に集約することで精算にかかる人時を低減している。
売場では頻度品についてはフェースを広げて陳列、補充頻度を最低限に抑えている。また積込作業が発生する木材などの資材は扱っていない。これらの取り組みにより本庄西店はオープン後、好調だ。直近までの売上実績は計画比3割増の水準で推移している。同店の森慎治店長は「ワーク&ツールのフラッグシップ店となれるよう、お客さまの満足度を高める店舗運営に努力したい」と話す。
コーナン商事では、このプロ向けフォーマットに磨きをかける方針で八坂マネージャーは「100~200坪といったさらにコンパクトなサイズにもチャレンジ、ドミナント強化に活用していきたい」と話している。
今後、都市部ではコーナン商事のプロ向け小型店の存在感が増すかもしれない。
さまざまな労災事故から眼を守る
スタイリッシュでくもらない保護メガネ
ボレー セイフティ
日常的な保護メガネ着用が労働災害防止につながる
2018年に厚生労働省が発表した「労働災害発生状況」調査によると、17年の労働災害は前年と比較して死亡災害が5. 4%増、休業4日以上の死傷災害が2.2%増と、増加傾向にある。近年、さまざまな労働現場の防災意識は高まる傾向にあり、対策も着実に進んでいるが、まだまだ不十分だということだろう。
保護メガネについても、日常的に着用することの重要性が以前から指摘されている。粉塵や飛来物が発生しやすい、工場や医療現場などで、ゴミ、チリ、金属などのかけら、液体などから眼を守ることができる。
作業用の保護メガネには、保護性能や耐衝撃性能などの堅牢性のほか、日常的な着用に欠かせない、ストレスのないかけ心地や、くもりにくさなどが求められる。
加えてスタイリッシュな「かっこいい」保護メガネを販売しているのが、ブッシュネル・アウトドア・プロダクツ・ジャパンだ。
デザイン性と保護性能、かけ心地のよい保護メガネ
ブッシュネルは、1948年設立の高性能スポーツ光学機器メーカー。日本法人は07年に設立されている。高性能保護メガネも、〝見る〞ことにこだわる製品ラインアップの1つとして販売。
同社の保護メガネは高い基本性能に加えて〝かっこよさ〞にこだわり、〝くもらない〞〝かけ心地よい〞という特徴を持つ。
中でも「ボレー セイフティ」ブランドの商品は、独自の技術開発と人間工学を駆使した保護メガネとして、世界的に高く評価されている。
そのフラッグシップモデルともいえるのが「RUSH+(ラッシュプラス)」だ。高いデザイン性に加えて、ラップアラウンドのモデルが快適に頭部を包み、眼を効果的に保護する。そのほか調整可能なノービス、プラチナコーティング、2色の異素材を一体成型した、しなやかなテンプルなども特徴。EU圏における保護メガネの基本規格である「EN166」をクリアしているほか、保護メガネに関する日本工業規格の「JIS T8147」の規格も取得している。
このほかに、ゴーグルタイプの「STORM(ストーム)」をラインアップ。透明の柔らかいフレームが顔に心地よくフィットし、足元もよく見えるなど、着用者の作業効率を最大限に向上させる究極のゴーグルだ。
同じく「BOOM(ブーム)」は、着脱可能なスポンジ素材のシールガスケットを装着することで、より粉塵からの保護性能を高めている。
注目企業 ● コーコス信岡
ファッション性、機能性を追求した新商品を積極的に投入
タウンユースの取り込み図る
コーコス信岡が展開するワークウエアブランド「グラディエーター」が好調だ。
アウターの「G-スポルト」は、2017年に発売して以来、販売数・額ともに順調に拡大。当初の計画の20~30%増で推移。
一見、カジュアルな上着のようだが、実際の作業現場で求められる、プロ向け衣料としての高い耐久性、機能性を備えているのが人気の理由だ。またワークパンツ「Gーカーゴ」も同様で、今も新たなファンを獲得し続けている。
いずれのシリーズも、定期的に新商品を投入することでブランド価値の最大化、浸透をめざす。
主力ブランドを拡充する一方、コーコス信岡が19年商戦において、とくに力を入れるのが、伸長カテゴリーの空調ウエア「エアーマッスル」である。昨年、「ディッキーズ」ブランドで、デザイン性、機能性にこだわった商品を投入したが、今年は、軽量で機能性を進化させたベストを追加し拡充を図る。
「昨年は作業向けを想定していたが、今年は、さらに幅広い仕様シーンのニーズに応えたい。畑仕事や散歩、またスポーツ観戦といった、日常的な“タウンユース”も取り込むことができればと考えている」(生産企画本部 企画部 次長林威喜氏)。
新たに保冷剤ポケット・ずり上がり防止ループ・サイドバッテリーポケットを追加して、快適さ、使いやすさも追求。幅広い層から注目を集める商品となりそうだ。
半永久的に消臭機能が持続
徐々に広がるマーケットにもチャレンジする。
ここ数年続いている夏の酷暑、高まる快適な作業環境へのニーズを受け、ラインアップを強化するのが汗臭、加齢臭対策の機能性ウエア「ニオイクリアEX」だ。「グラディエーター」の新シリーズとして積極的に販売する考えだ。
一般に汗臭、加齢臭の原因は、アンモニア、サク酸、イソ吉草酸、ノネナールという4つの成分といわれる。「ニオイクリアEX」は、日本製の特殊な消臭糸を編み込むことでそれらの成分を吸着、分解。この機能が半永久的に持続するのも特徴だ。
単体のワークウエアとして着用できるほか、前述の空調ウエアと併用しても大きな効果を得られる。使い方の幅広さも魅力といえそうだ。コーコス信岡は本質的な機能性やデザインにこだわり、リピート購入してもらえる「ファン」を増やすことで、来店率の向上につながる売場サポートに努めていく。
■「価値あるブランドを構築したい」
近年、着実に拡大しているのが、カジュアルでおしゃれなワークウエアへのニーズです。20~30歳代の比較的若い年齢層を中心に、年々、引き合いが強まってきています。
その中、当社では魅力的な品揃えを実現できるよう、商品開発に力を入れています。真摯にお客さまの声、量販店のバイヤーさまの意見に耳を傾け、商品づくりへ反映させる方針です。
徐々にスタイリッシュな商品が増えていますが、ワークウエアを扱う企業としてこだわりたいのは、品質と機能性。おしゃれであっても単に低価格を打ち出すのではなく、付加価値型の商品でユーザーの満足度を上げることができればと考えています。
こういった方針とともに、めざしているのは価値あるブランドの構築。当社には現在、独自の主力ブランドに「グラディエーター」がありますが、定期的に新商品を投入するほか、売場での価値訴求、またさらなる品質追求など、地道な取り組みを続けることで、ブランドの価値拡大をめざしています。
また展開するブランドの1つにアメリカンテイストが特徴の「ディッキーズ」があります。おかげさまで昨年、10周年を迎えました。このブランドも前述のような地道な施策が、幅広いお客さまの支持獲得につながったと自負しています。
お客さまのニーズは今も変化しており、そのスピードは年々上がっています。今後もお客さまの声、意見を大切にしながら商品を開発します。同時に、ホームセンター企業さまには、よりお客さまから注目されるような売場提案に取り組むことで、貢献していきたいと思います。
2019年春夏に向け主力ブランドを強化話題の空調服は「Jawin」「Z-DRAGON」ともに大幅に充実
自重堂
通気性高い伸縮素材
2019年春夏商戦に向け、自重堂は主力ブランド「Jawin」(ジャウィン)の新商品を発売する。
今回は「高通気ストレッチ」をコンセプトに掲げ、高い通気性を持つ伸縮素材をスリムなシルエットに仕上げた。素材は東レのストレッチテキスタイル「ボディフィール」を使用。織柄にて生地に微細な通気孔をつくり、高い通気性を実現している。
ラインアップは、ストレッチ長袖ジャンパー「56700」、ストレッチ長袖シャツ「56704」、ストレッチノータックカーゴパンツ「56702」の3アイテムを揃える。
タレントとして活躍する元メジャーリーガーの新庄剛志氏をイメージキャラクターに起用、おしゃれでワイルドなイメージを訴求する。
シューズもアイテムを強化
「スタイリッシュ」「カジュアル」をキーワードとし、強い支持を得るブランド「Z‐DRAGON」(ジィードラゴン)。引き続き俳優の市原隼人氏を起用し、商品を拡充する。こちらもストレッチ性の高い「T/C素材」を使ったウエアを投入。ストレッチ長袖ジャンパー「75900」、ストレッチノータックパンツ「75901」をはじめ、レディースを含む7アイテムを出す。
ジャンパーの左胸ポケットは二重ポケット( 野帳対応)、すべてのパンツ右脇にマルチポケットを付けるなど、細部にこだわるモノづくりは変わらない。
今期、大きく充実を図るのは空調服。「Z‐DRAGON」と「Jawin」ブランドでも発売し、綿100%素材、遮熱素材、カモフラ柄、デニム柄、フルハーネス対応などさまざまな素材とカラー、機能で展開する。
このほか、ホームセンター企業からの需要が急拡大するセーフティシューズもアイテムの強化を図る方針だ。
軽い力で太枝をカットできる「アンビル剪定鋏」発売
アルスコーポレーション
多様なシーンで活躍太枝カット可能な剪定鋏
ガーデニングで庭木や花木をカットする場合や、果樹園や造園業などで使用される剪定鋏は一般的に太枝を切ることもできる万能性が特徴。しかし、太い枝を切るときには手指に大きな負荷がかかる。
プロ用刃物の企画開発・販売メーカーとして知られるアルスコーポレーションでは、こうしたニーズに対応し、より軽い力で太枝を切断することができる「アンビル剪定鋏」を発売する。
新製品は切断目安として生木で22㎜以下に対応するSサイズの「VA‐7Z」と、25㎜以下に対応するMサイズの「VA‐8Z」の2タイプ。いずれも太い枝を楽にカットすることができるアンビルタイプの剪定鋏だ。
同社では、従来から鋏の切れ味はもちろん、長時間の作業や、硬いものを切ったときの指への負担軽減にこだわっており、今回の新製品も同社独自の技術を活用した製品となっている。
アンビルとは「金床」の意味。アンビルタイプの剪定鋏は、切刃と受刃が包丁とまな板のような役割を果たし、受刃は平らに近くなっているタイプ。切刃は通常の剪定鋏より薄く、切断時の抵抗が少ないため、太い枝を楽に切断することが可能になる。
独自技術を盛り込んだ作業性に優れた製品設計
製品刃部には高炭素刃物鋼を使用し、切刃にはフッソ樹脂加工刃を採用。受刃はハードクローム仕上げとなっている。またアンビルは亜鉛ダイカスト素材を採用しており、グリップはアルミダイカスト+ビニールコーティンググリップ。軽量で手になじみやすく、長時間の作業でも疲れにくい設計となっているのが特徴だ。
さらに、一度押し上げてから外す2段階式安全ストッパーを採用。ふいにストッパーが外れてケガをするといった心配がない。また自動でロックされることもないため、作業性にも優れている。
替刃交換も簡単で経済的。ドライバー1本で交換できる替刃式で、替刃は切刃セット、アンビルセット、替刃セットの3種類から必要なセットを選ぶことができ、無駄なく経済的に使用することができる。同社では、替刃方法について、具体的な手順を動画で配信するなど、情報発信にも力を入れている。
切れ味と高い作業性に加え、ユーザー視点に立って細部までこだわった、完成度の高い新製品として注目を集めそうだ。