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ジーユー 売上高3000億円に向け、顧客層拡大

ファーストリテイリング(山口県/柳井正社長)傘下のジーユー(東京都/柚木治社長)が好調だ。2014年8月期の売上高は1000億円を突破。次の目標である売上高3000億円、営業利益300億円に向けて、《ファッションと低価格》の日本発のグローバルブランドを標榜しながら、アジアナンバーワンのポジションを目指している。以下では、2015年秋冬展示会(6月3日@ラフォーレミュージアム)での柚木社長の発言を掲載する(談:文責・千田直哉)

 

 2014年秋冬シーズン(2015年8月期上期)は終了。計画を上回る増収増益を達成できた。

 

 タレントのローラさんを起用して商品を訴求した。キャンペーン商品として「スカート」「ニット」「冬物アウター」を積極的にアピールし、特にこれらが好調に推移した。トレンドに合った商品をそのままアピールする形が消費者のニーズに合致してうまくいった。

 もうひとつ。「ジーユーベーシック」という新しいカテゴリー商品を販売して、こちらの販売も好調だった。従来は、《ベーシックのユニクロ》《トレンドファッションのジーユー》と線引きしてきたが、ジーユーでもベーシックカテゴリーを「ウイメンズ」「メンズ」「キッズ」ともに立ち上げた。

 

 2015年春夏(3月~5月)は、「顧客層の拡大」に努めた。その結果、足元は好調だ。

 これまでは意図的に「ウイメンズ」「ヤング」「ファッション」を重視して押してきた。

 

 ジーユーはユニクロを母体にするブランドだったので、「990円ジーンズ」などが脚光を浴び、「廉価版ユニクロ」路線を推し進めた時期があった。

 しかし、それでは立ち行かないことが明らかになり、ユニクロと差別化を図るために、あえて「ウイメンズ」「ヤング」「ファッション」を前面に打ち出した。

 

 その結果、ユニクロと位置づけが違うことが浸透し、ショップを隣接させてもカニバリ(共食い)せず、むしろシナジーの方が大きくなってきた。

 そこで、あらゆる消費者にファッションを低価格で提供しようというのがジーユーの使命だと考え、顧客層の拡大に注力することにした。

 

 具体的には、「ウイメンズ」「メンズ」ともに、若者だけでなく大人も着られる商品づくり。「キッズ」はそもそも商品がとても少なかったのだが、低価格の需要は必ずあるので、デザイン性を強化させながら、品番数を約20%拡大した。

 

 この方針に則って、「ウイメンズ」は3月に「スカート&パンツ」、4月に「ガウチョパンツ」、5月に「ゆる夏スタイルコレクション」を訴求。3月~4月はTVCMを積極的に流した。

「スカート&パンツ」は「ゆるキレ」ということで「楽してキレイに着られること」を打ち出し、幅広い顧客層から支持を獲得することができた。

 

「ガウチョパンツ」は、久々のビッグトレンドだ。そのことを媒体や店頭を通じて訴えたところ、2か月で100万枚以上を販売することができた。これまでの最大のヒットは「990円ジーンズ」の年間100万本だったがこの記録を2か月で塗り替え、現在も「ガウチョパンツ」は売れ続けている。

 

http://www.gu-japan.com/gaucho/

 

「ゆる夏スタイルコレクション」は、エフォートレス――無理しないという気分、トレンドのこと。ゆったりとしたシルエットのTシャツやボトムスなどの動きが非常に良い。

 

 一方、「ベーシック」は、カーディガンやシャツ、マキシワンピース、スカート、キャンパスシューズなどが好調だ。

 

「メンズ」は、幅広い顧客層に受ける商品の提供とアピールに成功した。バリエーションを広げてのボトムスコレクション、インディゴ染めのブルーコレクション(デニム)などを展開している。

「ベーシック」も売れており、オックスフォードシャツやTシャツ、ポロシャツ、ジーンズなどの動きが良い。

 

「キッズ」は、「いつでもカワイイキッズコレクションがある」ことを訴求して、消費者からの認知を獲得した。店頭では、キッズコーナーを先頭に位置させ、大きなパネルで訴求するとか、〈こどもの日〉にイベントを開催するなど祭事連動キャンペーンを実施して成功した。

 

 現在、国内には314店舗を展開している。出店ペースは、年間50店舗ほどの速度を順守したい。都心部、ショッピングセンター、ロードサイドの立地にまんべんなく出店する。出店の余地はまだまだ大きい。

 標準規模は220坪、大型店舗は500坪。そのうち大型店は年間出店数の約16%を占めるに至っている。以前は10%を切っていたので、さらに増やしていきたい。

 海外は、台湾の台中に先週3号店が出たばかりで盛況だ。2店舗を展開する中国も好調に推移している。

 

 広告宣伝ということでは、ジーユーとしては初となる3人のタレント(香椎由宇さん、波瑠さん、山本美月さん)を起用したTVCMを展開していく。これまでは、きゃりーぱみゅぱみゅさんやローラさんなど1人のタレントでかつ「ファッションアイコン=若い」というイメージで訴求してきたのだが、幅広い顧客層を獲得していくために、方針を変更した。

 今は主婦の方々の来店が確実に増えている。しかも、購入に結びついている。

 これまでは、銀座店などでは、たくさんお客さまの来店はあるのだが、買わないで帰ってしまう大人の女性が多かった。その買い上げ率は確実に上がっている。

 

 それと、ウェブサイトの充実を図り、①トレンドガール(10代を含む若い女の子)、②ハンサムウーマン(OL、キャリアウーマン=働く女性)、③おしゃれママ、という3つのスタイルの提案。商品を打ち出すときには、常にこの3つのスタイルを念頭に入れ、伝えるように努めている。

 また、『G.PAPER』を創刊し、雑誌のような情報を盛り込んだものウェブ上で公開している。

 こうしたことが寄与して、メルマガ会員やジーユーのアプリケーション、SNSでつながっているモバイル会員数は1600万人を超えた。ジーユーは折込チラシによる販促をしていないので、モバイルがお客さまとの最大のコミュニケーションツールであり、集客ツールになっている。

 

 最後に2015年の秋冬シーズンの方針は、「あらゆるひとが、ファッション、自由を楽しめるブランド」。引き続き、顧客層拡大を進めたい。

 

「ウイメンズ」は、①旬のトレンド、②ジーニング、③エレガンスという3本柱を立て、さまざまなテイストが購入できるブランドになることを目指している。

 決して年齢別では、区分しない。

 世の中はエイジレスの方向に向かっているので、テイスト別に商品を開発していけば、顧客拡大につながるはずだ。

 主要商材としては、9月は「ワイドパンツ」、10月は「ニットコレクション」、11月は「アウターコレクション」をアピール。大型店舗向けの特別商品や好調のシューズ&グッズを拡充することでさまざまなお客さまのニーズに応えたい。

 

「メンズ」も、若い人だけではなく、幅広い層からの支持獲得に力を入れる。「カジュアル」と「キレイ目」ということでテイストの幅を広げる。

 

関連BLOG: 

http://diamond-rm.net/articles/-/7095

 

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