「1960年代までは『製造業主導の時代』だった」と話すのは日本アクセス(東京都)の田中茂治社長だ。需要が供給を上回っていたから、売り手市場。この時代の中で中間流通業界は供給機能だけを持つ「問屋」の時代だった。
しかし、1970年代から2000年代は、需給バランスが逆転し、「消費者主導の時代」を迎えた。買い手市場の中で、中間流通業界は、消費者ニーズに対応し、情報化を進めるなど供給機能を強化しなければならなくなった。「卸売」企業への脱皮が求められたのである。
では、現在はどうか?
ソーシャルメディアを背景とした「共感」を軸に、消費者ではなく人間を主体にした「価値主導の時代」が訪れている。中間流通業界は、「モノ」ではなく、「価値・サービス」を提供する「卸」企業となっていかねばいけない。「帳合に守られている取引は必ず終わる。だからこそ、『物販企業』から『サービス企業』へと蛻変【ぜいへん】しなければいけない」という考えから、田中社長は現在、同社の企業変革を推進している。
『ダイヤモンド・チェーンストア』誌2015年6月15日号