1つの企業にとってみれば、独占市場ほど「たまらん」ものはないだろう。
分かりやすいのは、昔、よく見かけた「田舎のよろず屋」だ。
競合企業がなく、消費者は、そこで買うしか選択肢がないのだから、やりたい放題ができる。
定価販売は当たり前。販売管理費や価格を下げる努力はしなくてもいい。
商品によっては、定価にさらに利益を上乗せして販売することだってできる。
しかし、1つの企業にとっては「たまらん」ことも、地域にとっては、迷惑この上ない。
公正で自由な競争がないこと悲しさ。迷惑を被るのはその店を利用せざるをえない消費者である。高い価格でも我慢して買わなければいけない。
「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)が存在する理由のひとつは、それを防止することにある。
もっとも、稀には、消費者利益を重視する「田舎のよろず屋」というのが出てくるかもしれない。
けれども、逆櫓を漕ぐ、反対勢力(カウンターパワー)があった方が、市場は健全な姿を維持できる。
反対勢力とは、消費者にとって、とても大事なものなのである。