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”白鷺城”の城下町で食べられる地元グルメ「姫路おでん」を知っているか?

兵庫県姫路市にやってきた。県下では神戸市に次いで人口が多く、歴史的な見どころも豊富な魅力ある土地柄だ。今回はJR姫路駅を起点に、自転車で各地を気ままに巡った後、地元の名物料理を味わうという話である。同じ関西でも、京都や大阪とは一味違う個性がある街の雰囲気を感じてほしい。

姫路おでん

城下町の風情が残る「野里地区」

 兵庫県の南西部に位置する、いわゆる播磨地域の中心地が姫路市だ。人口は約50万人と、県下では神戸市に次ぐ規模を誇る大きな都市である。播磨地域の食べ物で個人的に好きなのは、実に600年以上の歴史があると言われるそうめんだ。とりわけ全国的にも有名な「揖保乃糸」の大ファンで、夏になると昼食はかなりの確率で食している。

 それはともかく、今回は時間が取れたので姫路をじっくり観光してやろうと考えた。選択した移動手段は、小回りが利く自転車である。駅近くでレンタルし、姫路駅をスタート地点として活動を開始した。

 まずめざすのは、世界文化遺産に登録されている市のシンボル、姫路城。駅からは北へ伸びる大手前通りの突き当たりに見えており、迷うことはない。道中、あちこち観察しながらの移動は実に楽しい。道沿いに鯱(しゃち)の瓦を模したモニュメントが飾られるなど、街を挙げての演出に気持ちが高揚した。そして走ること78分で姫路城に到着。あっという間だった。

大手前通りに置かれている鯱(しゃち)の瓦

 ここ姫路市でもやはり訪日外国人観光客が目立つ。皆、スマホ片手にスナップしながら歩いており、楽しそうである。私は自転車を降り、手で押しながら堀に掛かる桜門橋を渡った。

他の観光地同様に、姫路市でも訪日外国人観光客が目立った

 さらに大手門をくぐり、広場として整備されている三の丸広場越しに姫路城を見上げた。快晴の日で「壮観」とはまさにこのことだと感じながら、その勇姿をしばらく眺めていた。

三の丸広場越しに見上げた姫路城

  姫路城の威容に満足した私が次に向かったのは「野里」という地区だ。姫路駅の観光案内所で、古い街並みが残るエリアがあると知り、興味が湧いたのだった。もらった冊子によれば、江戸時代の城下町だった頃の風情を今に残しているらしい。

  少し迷いはしたものの、20分ほどで到着。野里街道という道沿いに、古い町家が立ち並ぶ様子はなかなか風情がある。私が住む京都とは、一味違う街の個性を味わった。

城下町の風情を今に残す「野里」地区

  時計を見ると、昼時をとうに過ぎていた。動き回ったため、お腹が減っている。実は、もう食べるものは決めてある。想像しただけでたまらなくなり、私は店がある姫路駅へ向かうため、必死にペダルを踏み込んだ。

 

 生姜醤油をかける「姫路おでん」

 食べようと決めていたもの、それは「姫路おでん」である。事前の検索によれば、見た目は普通のおでんだが、とあるものをかけ、食べるのが姫路流なのだという。さてどんな味なのか、楽しみだ。

「みゆき通り商店街」の中の細い路地の一角にあるお店

  入ったのは「おでんと串カツ 姫路のお店」。姫路駅前の「みゆき通り商店街」にあるのだが、見過ごしてしまいそうなほど細い路地の一角に店を構えている。スタッフに声を掛けると、すぐにカウンター席に通された。

  早速、メニューを確認する。基本、夜の営業がメーンのようだが昼はランチメニューも充実している。悩んだ末、「姫路おでん ランチ」に決めた。

 ちょっと不思議だったのは、すべてのメニューの上にハートマークがついていることだ。さらに私が注文した「姫路おでん ランチ」の横にある、「ニューハーフ ランチ」というのも気になる。この店は、おでんと串カツがウリで、その気になるメニューは「おでん4個+串カツ3種」と、両方楽しめるのがこのネーミングの由来のようだ。なるほど。それにしても接客しているスタッフの方もそれっぽく、目が離せなかった。

「姫路おでん ランチ」を注文。「ニューハーフ ランチ」も気になった

  数分で私の目の前に届けられたのがこれだ。どうです、おいしそうでしょう。これにテーブルに置かれている「生姜醤油」をかけていただくのが姫路。まず卵から。最初は何もかけずにいただくと、想像より薄味で好感が持てた。

運ばれてきた「姫路おでん ランチ」

 次に例の調味料を少しかけて食べる。プンと生姜の香りがアクセントとなり、一気に私の味覚は別世界へと持って行かれた。うん、うまい。思わず、一緒に注文していたビールを飲んだ。それから大根、ソーセージ、ロールキャベツをそれぞれ頬張ってはビールというローテーションを繰り返し、完食する。ごちそうさまでした。大満足である。

生姜醤油をかけて食べるのが姫路流。なぜかボトルにもハートマークが! 
生姜の香りがアクセントとなったおでんを頬張り、ビールをいただく

 同じ料理でも何かひとつアクセントを加えるとオリジナルになる。関西でも、大阪や京都にはない姫路独特の味わいに感激した次第である。読者の皆さんも、姫路に来る機会があれば、ぜひ経験してみてはどうだろうか。

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