『チェーンストアエイジ』誌の編集部員が「TVをまったく観ない」と言うので、それを受け、天邪鬼的アプローチでTV番組を本当によく観るようになった。
4月~7月クールのドラマで面白いと思うのは、『空飛ぶ広報室』(TBS:日21時)、『家族ゲーム』(フジテレビ:水22時)、『ラストシンデレラ』(フジテレビ:木22時)、『間違えられちゃった男』(フジテレビ:土23時10分)の4本。合間に宮藤官九郎さん脚本の連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK:毎月‐土)を入れれば完璧だろう。
BS放送にまで食指を伸ばしてみると、再放送を含め、実に面白い番組が多いことを発見する。
中でもとくによく見るのは『吉田類の酒場放浪記』(BS‐TBS:月21時)だ。
高知県出身、酒場詩人の吉田類さんが、街角にある何の変哲もない居酒屋で、ただただ酒を飲むだけの15分番組なのだが、ついつい見入ってしまう。
番組のラストは、へべれけになった吉田さんが、「まだ2~3軒、いい店があるかもしれません」というセリフを残して夜の巷に消えていく、というものだ。
たったそれだけのつくりの番組であるにもかかわらず、視聴者からは好評のようで、私の友人・知人の中には熱狂的なファンも多い。番組発信の書籍は6冊、DVDはすでに8本も発売されているほどだ。
4月12日のBLOG「テレビ東京マーケティング」の中でも書いたように、『ワールドビジネスサテライト』『ガイアの夜明け』『カンブリア宮殿』『田勢康弘の週刊ニュース』『マネーの羅針盤』『ウイニング競馬』『土曜スペシャル』『出没! アド街ック天国』『ソロモン流』…テレビ東京にも面白い番組は山ほどある。
「テレビ離れ」が指摘されてから久しいが、こうした番組を観るにつけ、庶民のエンターテイメントとしては、依然なかなかの存在感を持っていると感心させられる。
もちろん、玉石混交で、劣悪な番組、観るに足らない番組というのも数多く存在する。
けれども、それは視聴者側が一定の価値基準を持って取捨を判断すればいいだけの話であり、番組をしっかり選んで観れば、TVはまだまだ捨てたものではない。