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オイシックス 提携、提携、提携の先に

 2013年3月に東証マザーズに上場したばかりのオイシックス(東京都/高島宏平社長)が2013年3月期決算を発表した。

 

 売上高は145億7500万円(対前期比15.6%増)、営業利益7億3300万円(同26.6%増)、経常利益7億3300万円(同23%増)、当期純利益3億3900万円(同2.1%増)の増収増益。売上高と経常利益は過去最高を記録した。

 

 オイシックスは、いわずと知れた有機野菜などの安心食品を宅配で提供するネットリテーラーだ。

 定期宅配会員「おいしっくすくらぶ」の会員数は2013年5月13日現在、7万6499人と対2008年3月期末では約2.76倍に増加している。購入頻度は2.09回、購入単価は5831円というビジネスモデルだ(ともに2013年3月期)。

 

 近年は、ドメインの「青果」のほか、「精肉」「鮮魚」「牛乳」「卵」に加え、「冷凍食品」や「加工食品」へのラインロビングを着実に進めており、2012年夏には野菜ジュース「Vegeel(べジール)」のようなヒット商品も開発している。

 

 新興企業である同社の動きで特に注目したいのは、多くの企業と提携し、さまざまな方向でビジネス展開の可能性を模索していることである。

 

 たとえば、2011年にはリクルートホールディングス(東京都/峰岸真澄社長)との合弁で食品通販モールを運営する「ごちまる」を設立している。

 

 森永乳業(東京都/宮原道夫社長)とは、同社の乳販店のネットワークを活用してチラシを通じての商売を始めている。

 

 また、東急ストア(東京都/須田清社長)には同社の商品を集めた売場を5店舗(中目黒店、目黒店、野沢店、洗足店、柏の葉店)で展開する。「東急線沿線と当社の商品との親和性は高い」と満足げな表情を浮かべるのは高島社長だ。余談ながら、同社は、直営店も2店舗(二子玉川店、恵比寿店)展開している。

 

 さらに、2013年1月からは、スープストックトーキョーを展開するスマイルズ(東京都/遠山正道社長)やディーンアンドデルーカジャパン(東京都/横川正紀社長)などの高付加価値ブランドの食品を「Oisix.com」での取り扱いを開始している。

 

 そして、5月14日。三越伊勢丹ホールディングス(以下、三越伊勢丹HD:東京都/大西洋社長)と業務提携を結んだ。10月をめどに、相互に商品供給を行うほか、三越伊勢丹HDの会員制食品宅配サービスの「三越伊勢丹エムアイデリ」にオイシックスの宅配システムや物流センターを活用してもらうというものだ。

 

 こうした数々の提携の先に、オイシックスが目指しているのは、食品EC(電子商取引)市場でのブランド確立だ。「ネット×プレミアム」という独自のポジショニングの早期確立に向けて、今年度もさらにアクセルを踏み込むものとみられる。

 

 なお、2014年3月期の業績予想は、売上高163億5100万円(同12.2%増)、営業利益8億2700万円(同12.8%増)、経常利益8億3300万円(同13.7%増)、当期純利益5億円(同47.5%増)としている。