FSP(フリクエント・ショッパーズ・プログラム)的な観点から言うと、タクシーほど、その恩恵にあずかれないものはない。
どんなに高い頻度で利用していても、気候の急変や天変地異から生じる長蛇の列の前にして、何のアドバンテージも持てないからだ。
11月11日、日曜日の夕方は雨模様。都郊外繁華街の駅前タクシー乗り場は、長蛇の列が出来ていた。こんな時にいつも思い浮かぶのは、「ヘビーユーザー優先」の9文字である。
しかし、そんなことをすれば、顰蹙を買うことは必至であり、列の混乱も避けられない。結局は、ただただ、黙ってこの状況に耐え、待つしかない。
ところが、日曜日は、あいにく傘を持ち合わせておらず、両手は荷物で塞がっており、「並びたくない! 何か手立てはないものか?」という状態だった。
窮すれば通ず。
ひらめいたのは、いつもタクシーを拾っている通りで待つことだった。
歩いて1分ほど移動すると、案の定、タクシーを拾おうとするお客の姿はなく、待つことわずか数十秒でクルマをつかまえることができた。
車内に入って、ホッと一息入れながら、思いついたのは、《タクシー乗り場ではない、いつもの通りでクルマを拾う》というノウハウ習得こそ、タクシー業界のFSPではないか、ということだった。