4月12日、ファーストリテイリング(山口県/柳井正CEO〈最高経営責任者〉)は2012年8月期上期の決算説明会を実施した(@東京証券取引所アローズ)。本日から3回連続でその模様を再録する。流通業界のトップオブトップスは何を語ったか?(談:文責・千田直哉)
2012年8月期上期は、売上高5255億円(対前期比14.9%増)、営業利益917億円(同11.8%増)の増収増益を達成した。
通期の業績は、売上高9415億円(同14.8%増)、営業利益1380億円(同18.6%増)、当期純利益815億円(同49.9%増)を予想する。この数字は過去最高益になる。
「日本経済は、2011年3月11日の東日本大震災に端を発する消費低迷からは回復しつつある」と各所で報じられているが、私は以前の水準に戻りつつあると見ている。
また、最近、巷では「高額商品が売れている」と言われているようだが、これには懐疑を抱いている。それというのもわれわれのセカンダリーラインであるg.u.(ジーユー)事業の業績が良いからだ。
今後の日本経済と日本人の生活を考慮すると中期的には、低額商品に人気が集中すると考えている。
現在、ファーストリテイリングがめざしているのは、「ユニクロを、真のグローバルブランドにする」ことだ。ユニクロが世界中の人々に知れ渡り、その日から、お客様に喜んで買っていただける商品とサービスを提供する、ことに努めている。
もちろん、ユニクロを「グローバルブランド」にするための打ち手はほどこしている。
ニューヨークにグローバル旗艦店を出店した。アジア地区では大量出店を計画し、アジアの代表ブランドにする。また、この3月からは英語の社内公用語化を開始。さらに、東京をグローバルヘッドクォーターにし、パリ、ニューヨーク、上海、シンガポールの世界4都市に地域本部を設立した。
ではまず、2012年8月期上期を振り返りたい。
国内ユニクロ事業は、売上高3645億円(対前期比6.6%増)を計上した。期末店舗数は828店舗、既存店舗売上高は対前期比2.3%増(客数:同4.9%減、客単価:同7.6%増)。後半(12月~2月)で売上を挽回、経費削減も奏功し、増収増益を達成することができた。
気温が低く推移したため《ヒートテック》などの冬物商品が好調。また、《ウルトラライトダウン》《暖パン》《マイクロフリースセット》など比較的単価の高い商品の動きが良かった。
海外ユニクロ事業は、売上高848億円(同68.8%増)、営業利益114億円(同45.1%増)と大幅な増収増益を達成した。期末店舗数は234店舗。ニューヨーク、台北、ソウルにグローバル旗艦店を開業、世界市場でユニクロの認知度が高まった。また、中国、台湾、韓国では大量出店している。上期の海外ユニクロ事業は4割の増益を達成した。
さらに、セカンダリーラインのg.u.(ジーユー)事業がブレークの兆しを見せている。
セオリー事業は、日米で大幅な増益を達成した。