こういう仕事をしていると、ついつい独りよがりになってしまうようなところがあり、指摘されないと気付かないことがある。
「うん」は、そのひとつだ。
先月、取材したある経営トップの方に言われた。
「君たちのようなインタビューを受ける機会は少なくないんだけど、頭に来ることがあるんだ。最初はかしこまって、『ハイ』『ハイ』といい返事をしているんだが、そのうち慣れてくると『うん、うん』になってくる。君たちに『うん、うん』と言われるような覚えはないぞ、と腹立たしく感じてしまうんだよね」。
同席したライターと顔を見合わせて、その場は終わり、「あれってボクのことかなあ」と尋ねると、「チダさんは大丈夫ですよ」と言ってくれた。
それで安心していたのだが、その後、何度かインタビューをしているうちに「うん」「うん」と相槌を入れている自分に気が付き、仰天した。
「ボクのことを遠回しに言っていたんだ」。
はっきり言って相槌で「はい」と言うも「うん」と言うも、私にとっては、それほど大差のないことだ。
ただ、それを嫌がる方がいるという現実は厳粛に受け止め、返事の仕方ひとつも気を付けたいものである。
スミマセン!