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マネジメントは教養である

 ピーター・F・ドラッカー教授の主要著作の翻訳を手掛けた上田惇生さん(71)の講演を聞いた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)の代表を務める根っからのドラッカーファンでもある。珠玉の内容を抜粋して記す。

 

「1年に2回、自問自答してみて欲しいのは『あなたは何をもって覚えられたいのか?What to be remembered for?』(ドラッカー)ということだ。我が道を行くから他人の評価は関係ないと言う方もいるかもしれない。しかし、1年に2度、試してみて欲しい。日常の一挙手一投足がそちらに向かい、必ず、その理想像に近づくはずだ」。

 

 「『マネジメントは教養である』(ドラッカー)。世の中に影響を与える人間は教養を身につけるべきだ。『何でカネ儲けが悪いことなのか?』なんて言う輩は愚の骨頂だ」。

 

「企業は、お客様に対してベストのチームを組め! その他のことはアウトソーシングでかまわない」。

 

「トップマネジメントにはトップになるための修行が必要だ。野球なら次期監督は2軍や3軍監督がなるべき。1軍のコーチはマネジメントの修練を積んでいるわけではない」。

 

「ドラッカー教授が自分自身で新たに発見したものはあまりない。どこかで見聞きしたものを報告する形が主流なので、彼の理論にはきれいな法則性はないことが多い」。

 

「食品スーパーは日本に1号店が開業してからまだ50年前後の産業。分からないことだらけだ。産業人である皆さんが新しいイノベーションを発見・開発をすれば、それが業界の発展に直結するはずだ。毎日働いて実業に励んでいるあなた方産業人が世の中をつくっている。がんばってください!」。

 

 早口。話もあっちこっちに飛んでは戻ってくる。しかしながら、短時間でも話の大枠、細部ともに把握できる講演の名手。素晴らしい内容だった。

 

『週刊ダイヤモンド』誌で好評連載中の「3分間ドラッカー」を単行本化した『ドラッカー 時代を超える言葉―洞察力を鍛える150の英知―』(ダイヤモンド社刊、1575円)は先週発売されたばかりだ。