「チャンスがきたぞ」。
昭和40年、経営難に陥っていた東芝(東京都/佐々木則夫社長)の再建を依頼され、社長に就任した故土光敏夫さんは、初めて臨んだ取締役会でこう話した。「社員にはこれまでより3倍働いてもらう。役員は10倍働け。俺はそれ以上に働くから」。
この時、土光さんは68歳。
東日本大震災は、日本各所に大きな被害をもたらした。戦後最大の自然災害を前にわれわれ人間はあまりにも無力であることを痛感させられた。
かつて経験したことのない苦境を前に、肩は落ち、目線は下がり気味になってしまいがちだ。しかしだからといって、嘆きや悔い、中傷誹謗ばかりでは何も生まれない。
厳しい局面は、当分続くものと予想されるが、大きな変化を大きなチャンスと受け止め、チェーンストア企業各社も、日本復興に向けての役割を勇猛果敢に果たしたい。
危機的現状を打開するには、それぞれの立場に応じて3倍、5倍、10倍、20倍、それ以上と働く必要がある。68歳の土光さんよりも、ずいぶんと若いわれわれなのだから必ずできるはずだ。
(『チェーンストアエイジ』誌2011年4月1日号)