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カスミ石原俊明社長 東日本大震災後の茨城県を元気にしたい

 カスミ(茨城県)の石原俊明社長は4月11日に開かれた決算発表会(@日本商工会議所)で東日本大震災とその後の影響について言及した。以下はその抄録(談:文責・千田直哉)。

 

 3月11日に東日本大震災が発生。12日は、ライフライン復旧の有無にかかわらずお客様に生活物資を渡したいという思いから全店営業を原則とした。

 店内が使えない店舗では店頭販売を実施した。ただ営業時間については、バラバラで停電しているエリアでは日没までという具合に対応した。

 4月1日以降は、ほぼ全店舗で通常営業を再開。チラシも再開している。現在は1店舗が閉鎖、1店舗は安全点検中だ。

 

 2011年度の売上はどうなるか読みにくい。既存店舗の予算は対前年度比99%で組んだ。ちなみに3月の営業時間は前年の86%。にもかかわらず既存店舗は101.5%で推移した。4月は前年を少し下回っている。

 

 東日本大震災後、お客様の購買行動は変わっている。まず早朝の出足が早い。希少なヨーグルトや水、納豆を買い求めたいからだ。

 4月に入ってからは、夕方のお客様数が通常に戻りだした。

 

 商品的には、豆腐やこんにゃくなどの和日配の伸びが非常に高い。それと弁当を中心にしたデリカ部門の伸び率も高い。また調理が簡単な肉も伸びている。

 

 茨城県は毎日震度4~5の大きな余震が続いているのでメニュー的には油を使う天ぷらをする家庭は少なくなっている。天ぷら周辺商材は前年の半分まで落ちている。余震によって料理はずいぶん制約されているのだろう。

 

 現状は水もヨーグルトも品不足。業務資本提携しているイオン(千葉県/岡田元也社長)のプライベートブランドであるトップバリュも商品によっては品不足だ。

 震災直後は、一部の商品が非常に逼迫した。たとえば即席めんは通常の5.8倍の量を仕入れても品切れてしまった。

 ただ、当社には買占めはなかったと判断している。

 茨城県は被災地であるのに生活物資の配給がほぼなかった。店舗で明日明後日の商品まで購入するのは普通の購買行動だろう。だからそれは買占めではないと考えている。

 

 今後、地域の復興を抜きにしてわれわれ食品スーパーの復活は考えられない。まずはドミナントエリアの中の茨城県を生活者の方々と一緒になって元気にしていきたい。それがわれわれの役割であり使命だ。

 茨城県の野菜は原発問題の影響で風評被害にさらされている。

 そこで、4月15日から茨城県の生産者のつくった生産物を、信念を持って販売する。消費者、消費者団体連絡会、カスミの三位一体で地域の生産物――。まず全国2位の大生産地である野菜を売って 元気を取り戻したい。その次は魚だ。

 店頭で主旨を伝え、安全をアピールする。

 

 これから行われるであろう計画停電の影響は、見えない部分が多々あるが、いろいろなシミュレーションはしている。

 茨城県は計画停電をこれまでは除外されてきた。千葉県、埼玉県、栃木県に展開している店舗での経験を踏まえて言うと、1日2回停電の店舗では営業時間は5~6時間になる。そして非常に廃棄ロスがでる。

 もっとも困るのは「冷凍食品」をどう管理するかだ。氷袋を作って商品の上に乗せるとか、蓄冷材を乗せるとか、直近では、そんな形で対応してきた。これは、今後のわれわれにとっては、マイナス要因にしかならない。でもその中でも何か対策を打ち出したい。