3月22日、東日本大震災以来、久々の出張で名古屋に行った。
出発が朝の早い時間だったために、最寄駅までタクシーを利用し窓の外を漫然と眺めていると、21日までは長蛇の列ができていた複数のガソリンスタンドにクルマがまったく並んでいない。
「レギュラー1リットル150円」には驚いたが、少しずつ状況は好転しているように感じた。
東京駅の人の少なさにも驚かされた。
いつもなら、新幹線の当日券購入窓口に長い長い待ち列ができているのだが、1人も並んでいない。窓口で暇そうにしていた駅員さんに聞けば、「東北新幹線が那須塩原までしか通じていないことが大きいと思うよ」とのことだった。
東海道新幹線も空いていた。この時期は大抵の会社が出張自粛令を出しているからなのだろう。
3人掛けの窓際に当たるA席に座ったのだが、名古屋に着くまで、隣のB席、C席には誰も来ず、空席のままだ。周辺の席を見回せば、卒業旅行然とした女子中学生8人組を除けば、通路側の席はほとんど誰も座っておらず、いつもとは違う不思議な空間が広がっていた。
辿りついた名古屋駅も、通常との比較で言えば、人があまり出ていない感じだった。
時間があったので、家電専門店のソフマップ名古屋駅ナカ店をぶらつき、乾電池売場を覗いてみると、単4を除くすべての乾電池が売り切れ――。
我が家のTVは、“関西のオバサマ”たちが乾電池を買い占める模様を流していたが、「やっぱりなあ」と納得する。
しかし、駅構内のキオスクでは単3電池が4個1000円と高額ながら在庫があり、単3電池のパッケージとは久々のご対面と相成った。
そこから名鉄に乗り換え、「国府宮駅」で下車。タクシーでユニー(愛知県稲沢市/前村哲路社長)本部へ。その前に、隣接するアピタ稲沢店に立ち寄って売場をチェックだ。
店内の照度は抜群で、首都圏の薄暗い売場に慣れた身としては、久々の明るさがまぶしい。
ここでも乾電池を探してみると、単3の12個パックを1380円、単3の8個パックを980円で普通に販売している。ということは、ソフマップの売り切れは、在京の人が出張帰りに買い占めたからだろう、と考えを修正する。
さらに隣接するホームセンターのユーホーム稲沢店に立ち寄ると、同10個パックを多くの在庫を抱えながら298円で販売しており、所変わればずいぶん変わるものだな、と少し安心した。
久々の出張は、久々に見たもの、久々に体験したことが多かった。
これは尋常ではない状態が恒常化していることの裏返しと言えるだろう。