向かい風の朝、駅までの通勤途上。自分の前をゆく人がタバコを吸っている。煙は後ろを歩く者を常時かすめてゆき、目的地にたどり着くまで嫌な思いをさせられる。
同じ通勤途上。長い傘を持って、階段を上っていく人がいる。腕を大きく振っており、時に傘の先端が下を歩く者の顔をかすめる。ちょっとタイミングを間違えば、大怪我を負わせる可能性がある。
さらに同じ通勤途上。後ろ手にキャリーバッグを引いている人がいる。急に立ち止まったり、方向転換を繰り返すから、後ろを歩いている人はその都度、バッグの車に躓かされる。
たかが通勤途上なのに、こんな人たちが確実に増えている感じだ。
困った人たちの共通項は想像力不足にある。
こうしたら、こうなるだろうなあ、と想像する力がないから、好き勝手をして、結局は他人に迷惑をかけている。
想像力のなさということで思い返されるのは、岩手県や宮城県で暴言を放った松本龍前復興担当大臣だ。こう言ったら、こうなるだろう、という想像力がないから、就任わずか9日で辞任するはめになってしまった――。
そんなことを悪友に話したところ、「逆かもしれないよ。想像力が旺盛で菅内閣という“泥船”にこれ以上乗っていたくないから、あんなことを言ったんじゃないかな」と答えが返ってきた。
確かにちょっとした常識人なら、TPOをわきまえて、あんなことを言うはずがないから、悪友の言うとおりかもしれない。
うんうん、われわれ分別のある日本国民から選ばれた国会議員なのだから、きっとそうに違いない。