株式非公開企業とわれわれのようなプレス(=報道)との関係は微妙なものがある。
株式非公開企業は、その名の通り、株式を公開していないのだから、機関投資家などの株主やプレスに対する説明責任がない。それは事業運営上、大きなメリットのひとつでもある。
ところがその半面、株式非公開企業には、プレスとうまく付き合い、活用しながら広告宣伝したいという思惑もある。
昨日開かれた、ある記者会見のように、自社に都合の悪い情報や数字情報は発表したくないけれども、プラスになるようにはどんどん宣伝して欲しいというのが、株式非公開企業の本音なのだ。
しかしわれわれ記者には、多くの経験があり、そんな企業の腹の中を見透かす術を持っている。どんなに上手に記者会見を進めようとも、その日にその企業は何を考え、なぜわれわれプレスを集め、何を宣伝して欲しいのかは、手に取るように分かってしまう。
だから株式非公開企業は、プレスを活用したいのであれば、プレスに対して正直になり信頼関係を構築すべきだろうし、プレスの希望する情報も開示すべきだろう。
プレスが聞きたい情報は流さず、イメージアップにつながる情報ばかりを押し込む、というような“いいとこ取り”は、所詮長く続かない。
株式非公開企業は、IR(インベスターリレーション)など面倒な業務を回避でき、機関投資家や証券アナリスト、プレスから突かれることがないから有利かもしれない。
だが、その有利性に胡坐をかいていると、ひどいしっぺ返しに合うぞ、と警鐘を鳴らしておきたい。