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『ふぞろいの林檎たち』を観ながら喫煙について考える

 TBS開局60周年記念として『ふぞろいの林檎たち』が再放送されている。ちょうど、学校に入学した当時の作品であり、毎日懐かしみながら観ているのだが、当時は感じていなかった違和感がある。

 

 仲手川良雄(中井貴一さん)、岩田健一(時任三郎さん)、西寺実(柳沢慎吾さん)、本田修一(国広富之さん)ら主役級の人物が画面の中でのべつまくなしでたばこをふかしているからである。

 道端で吸っていれば罰金を徴収されるいまとなっては、その光景は異様そのものだ。

 

 そこで喫煙率について調べてみた。

 このドラマが初放映された1983年(昭和58年)の20代男性の喫煙率は70.9%(同女性15.0%)。全年齢男性では66.1%(同女性13.5%)と高い数字になっていた(日本たばこ産業〈JT〉全国喫煙者率調査、以下同)。

 

 1988年に社会に出たころは、社内で着席しての喫煙が認められていた。

 いまから振り返ると大変なことなのだが、当時は何の問題意識もなく、当たり前のように上司や同僚が吐き出す紫煙を眺めていたものだ。

 

 しかし、90年代に入ると徐々に風向きが変わり始める。

 

 「嫌煙権」や「受動喫煙」の問題が大きく取り沙汰し始められた。

 わが社でも1998年頃から分煙がスタート。この頃の20代男性喫煙率は63.7%(同女性23.5%)、全年齢男性は55.2%(同女性13.3%)と減少している。

 

 新幹線にも喫煙車があった。というよりも、ほとんどが喫煙車で、禁煙車の方が圧倒的に少なかった。上司に強いられ同乗する真っ白に霞んだ車内はとても苦しかったが、それもいまはほぼ姿を消した。

 レストランや居酒屋でも着席のまま喫煙できる店は確実に少なくなっている。

 

 こうしたご時世を反映するかのように、2009年に至ると、20代男性喫煙率は40.3%(同女性15.9%)、全年齢男性は38.9%(同女性11.9%)と喫煙者はマイノリティになってしまっている。

 しかも2010年10月からはたばこの価格が大幅に値上げ。また東日本大震災で工場が被災したJT製たばこの品不足が続いており、これをきっかけに禁煙するカスタマーも少なくないかもしれない。

 

 そんな未来社会から、『ふぞろいの林檎たち』を観ていると、南方仁先生さながらタイムスリップをしたように感じてしまう。それとともに、「年をとったなあ」とも実感させられる。