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マルナカグループ、イオンの傘下に

 イオン(千葉県/岡田元也社長)は、中国・四国を地盤に食品スーパー(SM)211店舗を展開するマルナカ(香川県/中山明憲社長)、山陽マルナカ(岡山県/中山明憲社長)を11月に買収すると発表した。買収総額は449億円。

 

 2010年8月に3社と三菱商事(東京都/小林健社長)は包括的業務提携を発表。共同調達やグローバルソースからの調達、プライベートブランド商品の開発及び調達、物流システム等の効率的な活用、原材料、後方資材等の調達、経営管理、販売促進、ITの活用などの取組を進めるとしていた。4社は提携推進委員会を設置するなどしてきたが、具体的な動きはほとんど見せていない中での買収劇となった。

 

 “瀬戸内の暴れん坊”としてその名を轟かせてきたマルナカグループは、これまでどの流通企業グループにも属さず、独立独歩路線を歩んできた。

 自家用ヘリコプターで中国・四国を精力的に往復し、マスコミの取材をほとんど受けずベールに包まれた創業者、中山芳彦マルナカ前社長の姿も“暴れん坊”の印象をより強いモノにした。

 

 しかし、一方では、“暴れん坊”の評価そのままに、同グループはコンプライアンス(法令などの順守)精神に欠ける側面を見せ続けた。

 直近の例を挙げるなら、今年6月22日には、山陽マルナカが「優越的地位の濫用」を理由に公正取引委員会から排除措置命令と2億2216万円の課徴金納付命令を受けていた。

 

 また、2011年にも実施するとしていた2社経営統合と本部の兵庫県神戸市移転はうやむやのままだったり、買収発表後にマルナカの社長が交代していたことが判明するなど年商3309億円規模の企業としては、ディスクローズ性に乏しさが目立った。

 

 そうした企業風土を抱える同グループがイオングループ入りしたことはCSR(企業の社会的責任)を果たしていくためにも英断だったと受け止めたい。

 

 同グループドミナントエリアである中国・四国も少子高齢化と競合激化で縮小する需要の分捕り合戦が熾烈化している。

 イオングループの一員となることで大きな荒波を乗り切る、という選択が正しかったと言えるような同社の巻き返しに期待したいところだ。

 

 ただ、情緒的な話をするなら、地域経済の“暴れん坊”がまたひとつ大手の傘下に入ってしまった、という寂寥感は残る。