久しぶりに成城石井の大久保恒夫社長の話を聞いた。ユニクロ、無印良品、ドラッグイレブン、成城石井…大久保さんのコンサルティング・社長歴は華やかだ。その根底には強い信念があり、1.リストラ(経費削減)をしない、2.安売り(ディスカウント)をしないこと、による利益改善がある。
いくつか光る言葉があったので記しておきたい。
「売場をよくしない限り、小売企業の価値は上がらない。その源泉となるのは従業員だ。だから知識・技術・モラル教育にはオカネをかけるべきだ」
「小売業のマネジメントは本部の指示を売場がいかに実行するかがカギを握る。そのポイントは、1.多くの指示を出さずに3つ程度に絞り込む、2.簡単にできる指示を出す、ことにある」
「安売りをすると初めの3ヶ月間は売上があがる。しかし、お客様はその価格に次第に慣れるようになり、4ヶ月めからは以前よりも逆に売上は下がるものだ」
「バイヤーは本部に居座ってはいけない。取引先を呼んで、本部で商談するなどもってのほかだ。世界中を渡り歩き、良い商品を製造する工場を探り出す。その工場の出荷前の製品に“成城石井”のシールを貼ることこそバイヤーの仕事だ」
「価格を下げないで売上をあげるためには、1.フェースを拡大する、2.優位置での展開、3.在庫を増やす、4.POPをつける、5.接客をするの5点。接客の殺し文句は、『これ私も好きなんです』『新しく入荷された商品なんです』だ」
百戦錬磨の大久保さんならではの発言。高級スーパーが苦しい経営を強いられる悪環境下もものかは、このような考えを実践することで成城石井は好調に推移している。