[東京 4日 ロイター] – 政府が新型コロナウイルスワクチンを職場で打つことを認めたことで、「職域接種」に向けた取り組みを打ち出す企業が相次いでいる。対象を自社の社員に限らず、取引先や地域住民などに広げようとする動きもあり、接種ペースの底上げにつながることが期待される。
政府は1日100万回の接種を目標とする一方、足元のペースは40万回程度にとどまる。職域接種の開始は今月21日だが、高齢者向けが早期に完了する見込みであれば、各自治体の判断で前倒しもできる。モデルナ製ワクチンを使用する。
主な企業の取り組みは以下の通り。
〇丸紅
本社ビル内で21日に開始し、8月中旬終了予定。対象者は丸紅本社ビル勤務者等の希望者全員で、4000―5000人程度を想定。
〇関西電力
21日以降、準備が完了し次第開始、終了時期は接種状況を踏まえて決定。接種場所は本店、原子力発電所。対象は関電・関西電力送配電の従業員とその家族、グループ会社従業員、協力会社従業員。接種規模は約月5000回で、予約状況に応じて柔軟に対応。
〇ソフトバンクグループ
21日から順次開始。ソフトバンクグループ、ソフトバンク、グループ会社の従業員・同居家族のほか、ソフトバンクショップやワイモバイルショップ、コールセンターに勤務するスタッフ合計10万人規模。まずWeWork乃木坂で実施し、都内の他拠点やその他地域にも接種会場を設ける予定。
〇NTT
7月以降、準備が整い次第、1日あたり750人、年内に計4万人分の職域接種を実施する方向。
〇楽天グループ
21日をめどに準備が整い次第、東京の楽天本社オフィス「楽天クリムゾンハウス」で開始し、地方支社でも接種会場を順次設ける予定。対象は、日本国内の楽天グループ会社従業員・楽天メディカルジャパン従業員(各間接雇用含む)、およびその家族。今後、条件が整えば、近隣住民を対象としたワクチン接種機会の無償提供も検討している。接種人数は計約6万人。
〇サントリーホールディングス
21日から国内の各事業所で順次開始。対象は国内グループ会社の従業員約1万9000人とその家族。従業員の接種は勤務時間扱いとし、副反応が出た場合は有給休暇を付与。
〇伊藤忠商事
21日から東京本社、大阪本社で約7500人を対象に接種予定。8月中をめどに大半の対象者に2回目の接種を完了する見込み
〇日本航空
21日から社員に接種できるよう準備中
〇大和証券グループ本社
21日から9月末にかけて実施。まずは東京、神奈川、千葉、埼玉に勤務する社員とその家族およそ1万4000人のうち、希望者が対象。その他の地域は体制が整い次第、通知する。グループの産業医、看護師、提携先の医師、看護師などが運営に当たる。
〇アイリスオーヤマ
21日から全国の主要拠点で実施。国内で勤務するアイリスグループの従業員と家族のうち、希望者が対象。地域住民への接種も検討。
〇パナソニック
首都圏、大阪、福岡、滋賀の事業所は21日から実施。その他拠点は各自治体と連携し、速やかに検討・判断する。自社の社員と協力会社の従業員から接種し、社員の家族や地域住民に対象を広げるかどうかは進ちょくを見て検討。
〇日産自動車
実施する方向で検討中。対象者の範囲や開始時期など詳細は今後決める。
〇ソニーグループ
政府の指針が発表され次第、対応する前提で準備中。社内の産業医をはじめ、医療職で対応できる現状の診療体制を前提に計画していく。
〇みずほフィナンシャルグループ
実施する方向で検討中。対象者の範囲などの詳細は未定。
〇野村ホールディングス
実施に向け準備中。
〇ホンダ
具体的に検討を始めており、近隣住民や従業員の家族なども含めた対象者の範囲や接種の順番は今後決める。ワクチン休暇も設ける方向で検討している。
〇イオン
検討中。ワクチン接種については全従業員に推奨する目的で、勤務扱いとすることを決めている。
〇ANAホールディングス
21日開始を目指し、国際線に従事する操縦士と客室乗務員から接種することを検討。
〇トヨタ自動車
スポーツセンターなど同社の関係施設を接種会場に提供、産業医、看護師、会場運営スタッフを会場に派遣。
〇GMOインターネット
本社、地方拠点で社員に接種。取引先や地域住民に対しても接種を行う方向で検討中。
場所貸し
〇神戸製鋼
加古川製鉄所(兵庫県加古川市)の加古川体育館を、5日から当面の間、接種会場として提供。