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OECDが世界経済見通し上方修正、ワクチン接種や米刺激策受け

ロンドンの街
5月31日、OECDは世界経済見通しを発表、新型コロナウィルスワクチン接種の普及による経済の再稼働や米国での大量の資金投入により、見通しは改善しているとの見方を示した。写真はロンドンで8日撮影(2021年 ロイター/Henry Nicholls)

[パリ 31日 ロイター] – OECD(経済協力開発機構)は31日、世界経済見通しを発表、新型コロナウィルスワクチン接種の普及による経済の再稼働や米国での大量の資金投入により、見通しは改善しているとの見方を示した。

世界経済は今年5.8%、来年4.4%の成長が見込まれており、3月に発表された前回予測の5.6%、4.0%から上方修正された。世界経済の活動水準はパンデミック前に戻ったが、成長率は依然として危機前の予想水準に達していない。

OECDのチーフエコノミスト、ローレンス・ブーン氏は、「世界経済は現在、多くの摩擦を抱えながら回復に向けて進んでいる」と指摘。「パンデミック後の十分な成長が達成されない、あるいは広く共有されないリスクは高まっている」と述べた。

ワクチン接種により先進国経済は徐々に再開可能となっているが、多くの新興市場国経済は接種の遅れや新たなコロナ感染により停滞しているという。

OECDは、主要国の中央銀行は金融の緩和状況を維持し、目標値をオーバーシュートするインフレ率を容認すべきだとの見解を示した。

世界経済にはかなりの稼働余力があるため、経済の再開に伴うサプライチェーンのボトルネックによる最近の価格圧力にもかかわらず、インフレの持続的な上昇は抑制されるとみている。

ブーン氏は、中央銀行が一時的な物価上昇に脅かされることはないと確信している一方で、金融市場にへの確信はそれほどないとし、市場金利やボラティリティー上昇のリスクがあるとの見方を示した。

OECDは、ワクチン接種により最も脆弱なセクターが十分保護されるまで政府は家計や企業への支援をすべきとした。

数兆ドル規模の景気刺激策により米国経済は今年6.9%成長するとし、前回の6.5%から上方修正した。また2022年は3.6%成長とし、3月時点の4.0%から下方修正した。

米国の景気刺激策は国内成長率を3-4%ポイント、世界の成長率を1%ポイント押し上げ、今年半ばまでに米国経済をパンデミック以前の水準に戻すと見られていた。