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今年の世界貿易は最悪シナリオ回避へ、落ち込みは最大=WTO

深センの港
世界貿易機関(WTO)は23日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で2020年は世界のモノの貿易量が過去最大の規模で落ち込むとした上で、最悪のシナリオは避けられるとの見方を示した。深センで5月撮影(2019年 ロイター/MARTIN POLLARD)

[ブリュッセル 23日 ロイター] – 世界貿易機関(WTO)は23日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で2020年は世界のモノの貿易量が過去最大の規模で落ち込むとした上で、最悪のシナリオは避けられるとの見方を示した。

WTOは4月、20年にモノの貿易量が13ー32%減り、21年には21ー24%持ち直すという試算を公表した。

WTOは23日、新たな数字は公表しなかったものの、各国が素早く対応したことで20年の悲観的なシナリオが現実化する可能性は低いとの見解を示した。

第1・四半期のモノの貿易量は前年同期比3%減少。現時点のデータから試算した第2・四半期のモノの貿易量は18.5%減。

アゼベド事務局長は「貿易は今、史上最大の規模で落ち込んでいる。そして過去最大の落ち込みとなる。ただ重要なプラス点もある。これよりずっと悪い可能性もあったということだ」と述べた。

WTOは、各国政府が08─09年の世界金融危機よりも素早く対応したほか、給付金の支給が消費継続を促したと述べた。自動車など一部の部門は急速に落ち込んだが、電子製品などは底堅さを保ったとした。

20年の貿易が残りの毎四半期2.5%伸びた場合、通年では13%減と、より楽観的な見通しになるとの指摘。それでも、金融危機のさなかにあった2009年の12.5%減よりも大幅な落ち込みとなると指摘した。

一方で21年は、各国の成長が予想を下回ったり貿易障壁が増えた場合、持ち直しペースは現在の予測に届かない可能性があると予想。新型コロナの第2波の可能性も重しとなり得るとした。この場合、21年は約5%増にとどまり、パンデミック前の水準を大幅に下回る。このほか、金融・財政政策が大きな役割を果たすとも指摘した。