メニュー

インタビュー:景気刺激策は時期尚早、資本性資金は政府主導で=再生相

西村経済再生相
西村経済再生相はロイターとのインタビューで、現段階は景気を刺激する政策を打ち出す局面ではないとの認識を示し、事業継続や雇用・生活の下支えをすることが重要だと語った。写真は2019年9月、都内で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

[東京 8日 ロイター] – 西村康稔経済再生相はロイターとのインタビューで、現段階は景気を刺激する政策を打ち出す局面ではないとの認識を示し、事業継続や雇用・生活の下支えをすることが重要だと語った。第2次補正予算に盛り込まれている資本性資金供給については政府主導で行い、日銀には民間金融機関の資金繰り対策支援の継続を期待すると述べた。

新型コロナウイルスの影響が日本企業にも大きな打撃を与える中、日銀は3月から5月にかけて、企業の資金繰り支援や社債、CP(コマーシャルペーパー)の積極的な買い入れなど、主に企業の資金繰り支援を目的とした措置を導入した。マイナス金利の深掘りなど、景気刺激につながる追加緩和の措置を講じるべきかについて西村氏は、依然として事業継続や雇用を守ることが最重要だと強調。「今何か刺激をして大いに消費をし、大いに(人が)移動しようという段階にはない。消費を刺激していくのは、少し後ではないか」との見方を示した。

国会での審議が進む第2次補正予算の目玉の1つとなる資本性資金供給案について、西村氏は政府主導で資金注入を進めていくと指摘。今後日銀が何らかの形で絡む余地があるかとの質問には、「政府がしっかり予算を含めて手当をしているし、政府保証の枠もあるので、政府の方で進めていける」とし、日銀には「民間金融機関が資金繰り対策で応じていく部分を、日銀の立場から支えていただけるとありがたい」と語った。

景気は4-5月が底、他国との経済活動再開へ

4月に全国で緊急事態宣言が発令されて以来、消費は大きく落ち込んだ。宣言が先月解除されたことを受け、西村氏は「大きな第2波を避けられれば、内需は是非4ー5月を底にできるよう頑張りたい」と語った。中国が既に自動車の生産活動を再開しており、欧米も動き出しているとして、「自動車も期待をしたいと思っている」と述べた。

外需については世界中で感染拡大が続く地域があるため、「かなり不透明な部分がある」とした。一方で感染収束の見通しが立ちつつあるオーストラリア、ニュージーランド、ベトナムとは今後の世界的な経済活動の再開について近く意見交換を始めたい、と述べた。

増税の言葉「頭にない」、PCR検査基準の範囲は今後再考

さらなる財政支出の可能性については、世界での感染急拡大や欧米での感染第2波が日本経済に悪影響を及ばすなどのリスクがあれば、「臨機応変に時期を逸することなく」対応する必要があるとした。一方で 第1次・2次合わせて事業規模約200兆円の予算が組まれる中、基礎的な財政収支のさらなる悪化も懸念される。財政再建について問われると、現時点で財政再建は考えるべきではないと主張。「私の頭に増税という言葉はない。経済を支えることに全力を挙げていきたい」と述べた。

諸外国と比べて検査数が少ないとの指摘もあったPCR検査については、高齢者、基礎疾患のある人など、重症化するリスクのある人に重点的に検査を行ってきたと説明。「その結果が、人口当たりの死亡者数をかなり少なくできた1つの要因だ」とし、日本のPCR検査体制については「決して失敗したわけではない」と評価した。

一方、「いろんな知見が分かってきたので、(症状など)どの範囲でPCR検査をやるかは、大きな論点だ」と述べ、現在専門家を含め議論をしているところだと語った。