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「丸亀製麺」の第1号店を訪ねて兵庫県加古川市へ ”グローバルうどんチェーン”の源流をたどる

有力チェーンの源流をたどるシリーズ。これまで大阪府茨木市の「なか卯」、京都府京都市の「餃子の王将」などを紹介してきた。今回訪れるのは、うどん専門店「丸亀製麺」の1号店である。店名から讃岐うどんの本場、四国を想像するかもしれないが、実際に降り立ったのは兵庫県加古川市だ。地元の見どころにも触れつつ、その現場へ向かうことにしよう。

有名讃岐うどんチェーン「丸亀製麺」の源流を訪ねる
有名讃岐うどんチェーン「丸亀製麺」の源流を訪ねる

丸亀製麺の原点「棋士のまち加古川」

 加古川市は兵庫県南部の、ほぼ中央に位置する都市。南側は播磨湾に面し、西側は姫路市と接しており、江戸時代には参勤交代の宿場町として栄えた歴史を有している。現在の人口は約26万人で、県内では第5位の規模である。

 実は、同市は将棋が盛んな土地としても知られる。ゆかりの棋士が7人もおり、幅広い世代の熱心なファンが多い。さまざまなイベントや教室も開催されている。

 私が降り立ったのはJR「加古川」駅である。駅前には「棋士のまち加古川」と記されたポスターやのぼりがあちこちで見られ、市が観光資源として将棋を積極的にPRしている様子がうかがえる。

降り立ったのは兵庫県のJR「加古川」駅
加古川市は「棋士のまち」として有名

 今回訪れるのは、うどん専門チェーン「丸亀製麺」。店名から讃岐うどんや四国を連想する人も多いだろうが、実は1号店は加古川市にあるのだ。

 丸亀製麺の創業者である粟田貴也氏は、讃岐うどんの聖地・丸亀市で、できたてうどんを提供する製麺所に多くの人が並んでいた様子から着想を得て、この名を冠した。同氏は香川県出身の父を持ち、幼少期から讃岐うどんに親しんできた。加古川市で焼き鳥店を先に開業した経験もあったため、セルフ式うどん店「丸亀製麺」の1号店を加古川市にオープンさせたという。

 これらの背景を知ると、1号店への興味が一層深まる。駅近くの加古川観光協会を訪れると、市にゆかりのある著名人のサインが飾られており、粟田氏の色紙もあった。そこには「丸亀製麺の創業地 加古川から世界へ」と記されており、ビジネスに懸ける熱い思いが伝わってくる。

加古川観光協会にあった丸亀製麺の創業者、粟田貴也氏のサイン。職員の方に許可を得て撮影

 観光協会を後にした私は、いよいよ1号店へと向かう。どのような店であるか期待に胸を膨らませると、足取りは自然と速くなった。

 

国内外で親しまれるうどんの味

 歩くこと約15分、整備された加古川市道沿いにある加古川市役所を過ぎたところに「丸亀製麺加古川店」はあった。

「丸亀製麺加古川店」に到着

 見上げると、看板には「丸亀製麺 釜揚げうどん専門店」。赤い文字で強調された「讃岐」の文字が目を引く。入り口の前にある「丸亀製麺 創業店 平成十二年 十一月開店」と刻まれた木製の看板が誇らしい。

「丸亀製麺 創業店 平成十二年 十一月開店」と刻まれた木製の看板

 店内へ入ると、目に留まったのは「創業当時に使用していた器」のコーナー。2つのお椀が無造作に置かれているだけだが、まるで博物館に来たような気分になった。

「創業当時に使用していた器」を展示するコーナー

 案内に沿って進み、対面で作業している店員に「かけうどん並」を注文。受け取ってトレイに乗せ、その流れで野菜かき揚げ、えび、れんこんの天ぷらをチョイス、お勘定を済ませた。

カウンター席の壁に掲示されている年表

 カウンター席に腰を下ろすと、目の前の壁には創業から20周年までの年表が掲示されている。200011月の「第一号店 加古川店(兵庫県)オープン」を起点に、067月の「大東店」(大阪府大東市)で100店舗目を達成、その後も着実に店舗網を広げた軌跡が一目でわかる。

 さて、うどんである。

「かけうどん並」に、トッピングとして野菜かき揚げ、えび、れんこんの天ぷらをチョイスした

 まずは七味を振りかけ、割り箸を使って麺をすする。うん、安定のおいしさだ。続いてかき揚げを少しつゆに浸してから口に運ぶ。あっさりしたうどんと揚げたての天ぷらの相性は抜群である。次々と食べ進め、あっという間に完食した次第である。

年表には「丸亀製麺」ブランドが国内外あわせて1000店舗を達成するまでの軌跡が記されている

 満腹になった私は、改めて年表に目をやった。今や国内はもちろん、ベトナム、フィリピン、カンボジアといったアジア各国、さらにアメリカでも事業展開する丸亀製麺。その第一歩が、ここ加古川店だったと思うと、感慨深いものがある。

 満足感に包まれながら、私は店を後にした。

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