メニュー

宴会スタイルから「カジュアルに楽しむ」にシフト? 2025年の花見トレンドを解説

日本の花見文化は長い歴史を持つが、その楽しみ方は時代とともに変化してきた。平安時代は貴族が優雅に桜を愛で、江戸時代には庶民の娯楽として定着。バブル期には、企業がクルーザーを貸し切って高級フレンチを楽しむ「セレブ花見」まで登場した。そして2020年のコロナ禍では「オンライン花見」が登場し、自宅からリモートで桜を楽しむスタイルが話題になった。25年の花見はどのように進化しているのだろうか。最新の調査結果をもとに、今年の花見の動向を解説する。

iStock:2199775070

25年の花見は「カジュアルに楽しむ」がトレンドに

 リクルートの飲食調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」は、252月に「歓送迎会」「花見」について消費者アンケートを実施した。結果を見ると、25年春の「花見」への参加回数の見込みは、増加派(「昨年より大きく増えそう」+「昨年よりやや増えそう」)が計7.3%。一方、減少派(「昨年より大きく減りそう」+「昨年よりやや減りそう」)は計1.0%だった。

図① :2025年の「花見」における参加回数の見込み(単一回答)

 花見の参加者数はコロナ禍前に近づきつつあり、とくに2030代の回復が顕著だ。この背景には、従来の「宴会スタイル」から「カジュアルに楽しむ花見」へのシフトがある。

 調査結果(図②)によると、「シートを敷いて飲食する」スタイルは依然として人気がある一方で、「桜の見えるカフェやレストランで食事をする」「イベント会場で食べ歩きする」といった選択肢が増えている。とくに「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する若年層には、食べ歩きやキッチンカーの手軽なグルメが支持を集めているようだ。

図②:お花見の好きなスタイルTOP5

新感覚の花見グルメがトレンドに

 花見といえばお弁当やおにぎりが定番だが、25年は花見グルメに進化がみられ、「手軽さ」「特別感」「SNS映え」を重視したトレンドが台頭している。とくに人気の食べ物として「唐揚げ」「おにぎり」「三色団子」がランクインしており、片手で食べられる手軽さとシェアのしやすさが支持されているとみられる。

 また、最近は「桜を使ったスイーツ」や「花見専用のカクテル」など、見た目が華やかでSNS映えするメニューが続々登場している。屋台やキッチンカーでは、ロゼワインを使った桜カクテルや桜餅風パンケーキなど、新感覚の花見グルメが話題だ。(図③)

図③:お花見のときに食べたくなるものTOP10

今後の花見のスタイルやグルメはどう変わる?

 今後、花見のスタイルはさらに多様化し、「気軽に自由に楽しむ花見」が主流になると予想される。自治体や企業も新しい花見イベントを次々と企画しており、夜桜ライトアップや桜をテーマにしたフードフェスなどが注目されている。

 また、テクノロジーの活用も進みそうだ。たとえばVRを使ったバーチャル花見や、ドローンで撮影した桜をリアルタイム配信するサービスも登場している。さらに、花見グルメも進化し、「桜の香りを活かしたフード」や「季節限定の発酵食品」など、より健康志向のメニューが増えていくかもしれない。

 花見のスタイルは時代とともに変わり続けている。25年の花見は、従来の宴会型から気軽に楽しめるカフェ花見や食べ歩き花見へとシフトしつつある。

 これからの花見は、ただ桜を愛でるだけでなく、ライフスタイルに合わせた自由な楽しみ方が広がっていくだろう。伝統を大切にしながらも進化し続ける日本の花見文化を、これからも楽しんでいきたい。

モバイルバージョンを終了