直感と論理をつなぐ思考法(ダイヤモンド社)
著者:佐宗 邦威(株式会社BIOTOPE代表)
本書は、著者が知人から「最近、本当にやりたいことがわからなくなってきて」といった、ごくありふれた「相談」の言葉から展開していく。ビジネスパーソンのみならず、学生、とくに就職活動中の学生にも共通する感覚ではないだろうか。
あまりに変化が早く、過去の経験では戦えないと言われているこの時代、いわゆる「VUCA(≒不確実)な世界において、著者は「これからの時代に本当に必要なのは、むしろ変化にあまりとらわれず、これを「受け流す」力ではないかと思う」と述べている。
変化に流されない、漂流しないためには「自分モード」、つまり「好き」や「関心」というイノセントな感情を錨にして、想いや理想を表現し、形にしていく力が今後、重要になっていくと著者は伝えている。
冒頭の知人の相談に対する著者の見解は、「他人モード」に思考が占拠され「自分モード」を見失っているのではないか?というものである。著者はこの「モード」を切り替える方法や目指すべき方向性を、本書を通じて教えてくれる。
本書は読み進めていくごとに一つずつステップを上がり、そのたびに視界がクリアになっていくような感覚になる。
日々の仕事、SNSに流れてくる友達の動向。一日のうちに自身はどのくらい「他人の時間」に占拠されているのだろうか?そう思ったとき、ふと著者のいう「余白」、そしてそこから生まれるであろう「理想」を持つ大切さに気づく。