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週末読書おすすめの一冊:「デジタルが浸透した未来」をイメージできているか?

アフターデジタル(日経BP社)

著者:藤井保文(ビービット)、尾原和啓(IT批評家)

日経BP社/本体価格2,200円+税

 デジタルトランスフォーメーションが叫ばれて久しい。自社のアナログな業務フローに対し、いかに「デジタル化」を進めていくか、頭を悩ませているIT担当は多いだろう。

 本書は、企業のデジタル施策を支援するビービット社の藤井氏と、Googleや楽天などのプラットフォーマーで新規事業を進めてきた尾原氏の共著である。

 両氏は中国での視察を経て、ある「問い」を立てる。「日本のビジネスパーソンは、”デジタルが浸透した未来”をイメージできていないのでは?」。

 中国ではすでに「デジタル」が浸透しつつあり、そこに「リアル」との垣根はないという。企業はさまざまなチャネルを用意、顧客は「その時にマッチした選択をする」だけ。デジタル化もままならない日本において、現時点ではイメージができていなくて当然であろう。

 アフタ―デジタルな世界では、「リアル」と「デジタル」の主従関係が逆転するという。つまり「デジタルの中にリアルが内包される」。絶えずオンラインを通じて接点があり、必要があれば「リアル」に足を運ぶ。近い未来の日本の姿になりうると、著者は発想の転換を促す。

 藤井氏は本書の中で「”デジタルトランスフォーメーション”という言葉は、企業のためにあるのではありません。社会インフラやビジネスの基盤がデジタルに変容(トランスフォーム)することを指しているのです」という。この指摘は鋭い。

 なぜデジタル化が必要なのか?それは「社会の要求」であり、その要求に合わせて企業もアジャストする必要があるから「デジタルトランスフォーメーション」が必要なのである。この原点に立ち返ることで、「アフターデジタル」への適応が見えてくるのであろう。