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オススメの一冊『いつか小さくても自分の店を持つことが夢だった スーパーアキダイ式経営術』

『いつか小さくても自分の店を持つことが夢だった スーパーアキダイ式経営術』
秋葉弘道=著(扶桑社刊/1400円〈本体価格〉)

 夕方のニュース番組、店の前で熱心に野菜の仕入れ状況や価格の変動について語る茶髪の男性を見たことがある人は多いだろう。年間のテレビ出演本数300本超というこの男性の正体は、東京都と千葉県で食品スーパー(SM)4店舗と青果店2店舗、そのほかベーカリーや居酒屋も展開するアキダイ(東京都)で社長を務める秋葉弘道氏だ。本書は、秋葉社長自身が自らの半生や創業秘話、アキダイでの業務、経営戦略などを詳細に記した解説書である。

 なぜテレビ局は秋葉社長にこぞって出演依頼をするのだろうか。本書の中で秋葉社長はその理由の1つに自分のフットワークの軽さを挙げる。SMの大企業などに取材する場合、企画書を送り、取材の可否がわかるまでに数日かかる。一方、アキダイの場合は秋葉社長に当日電話でお願いすれば、二つ返事でOKするという。リアルタイムの情報が必要なニュース番組には素早く対応してくれる秋葉社長が適任というわけだ。

 本書ではアキダイの強さの秘密も語られている。秋葉社長は自社の強さの1つに、SMの利便性と八百屋ならではの温かみが両立されていることを挙げる。創業当初は青果店から始まったアキダイだが、1カ所で幅広いカテゴリーを購入できるワンストップショッピング性を追求し、SMへ業態転換している。しかしSMに姿を変えた後も、八百屋ならではの対面販売を継続し、お客との交流を大切にしている。また、地域密着にも注力し、地元の活性化のために地域に根付いた飲食店に鮮度がよい商品を安価で提供している。また、地元の小学校の社会見学を引き受けているほか、中学生の職場体験も受け入れている。小手先ではなく本気で地域に受け入れられるような取り組みを実施しているからこそ、地域の支持を獲得できているというわけだ。

 本書を読めば、アキダイが地域に必要とされている理由がわかるほか、秋葉社長自身の人となりまで伝わってくる。SMにおける地域密着の重要性が言われて久しいが、SMが地域との関係性を深めるうえで、本書は参考になる部分も多いのではないだろうか。

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