総務省が6日発表した8月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は1世帯当たり29万3161円と、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比2.5%減少した。マイナスは6カ月連続。食料向けなどが落ち込む一方、外出関連の支出拡大で減少幅は前月(5.0%減)から縮小した。
魚介類や肉類を中心に食料は2.5%減少した。マスクや体温計の需要の減少などを受け、保健医療も11.2%減少した。このほか携帯電話の格安プランの契約数増加の影響もあり、通信向け支出は12.2%減った。
一方、外出関連の支出は好調で、飲酒代などが伸びた外食は15.2%増。夏休みで鉄道・航空運賃を含む交通向け支出は32.7%、パック旅行費を含む教養娯楽サービスは5.4%それぞれ増加した。
農林中金総合研究所の南武志理事研究員は「実質賃金のマイナス状態が続き、物価高で消費が抑制されている」と指摘。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に移行してから初めての夏休みだったが、「リベンジ消費がけん引して消費全体を盛り上げる構図にはならなかった」と分析した。