【北京時事】中国政府が新型コロナウイルスの水際対策を大幅に緩和すると表明したことを受け、日本とのビジネス目的の往来は加速する見通しだ。ただ、日本はコロナ感染が急拡大している中国からの渡航者に対し、入国時の検査などを強化するため、影響は避けられない。中国では訪日旅行への関心も高まっているが、先行きは不透明だ。
「最大の障害がなくなった」「次はビザ免除の再開を期待したい」。中国の水際対策緩和を受け、北京の日系企業の間では、ビジネス正常化への期待が高まった。大手商社関係者によると、この3年間、中国の厳格な入国規制が足かせとなり、日中間の出張件数は大幅に減少。この影響で意思決定などが滞り、「取りこぼした需要も多い」という。
中国当局は26日、入国時に義務付けてきたPCR検査や原則8日間の隔離措置について、来年1月8日から撤廃すると発表。中国人の海外旅行も徐々に解禁する方針を示した。中国インターネット旅行最大手トリップドットコムグループ(携程集団)によると、27日午前の中国発国際線航空券の予約件数は前日の約3.5倍となった。日本やシンガポール、タイ行きの伸びが目立つ。
もっとも日本では、中国本土からの渡航者と、7日以内に中国本土へ渡航した人全員に入国時検査を実施するなど水際措置が強化される。また、中国便の増便が制限されるため、往来が早期にコロナ流行前の状況に戻ることはなさそうだ。
中国からの海外旅行は今後増える見通しだが、日本がこうした措置を続けた場合、訪問客の取り込みで他国に後れを取る可能性がある。中国では日本の措置について「科学的ではなく、差別的だ」と反発する声が出ている。