【北京時事】新型コロナウイルスの感染拡大が続く中国で、経済の混乱が深刻化している。11月の小売売上高は前年同月比5.9%減と6カ月ぶりの大幅な落ち込みを記録。鉱工業生産も伸びが急激に鈍化した。専門家の間では、今年の経済成長率が政府目標の「5.5%前後」を大きく下回る3%程度にとどまるとの観測が広がっている。
中国では11月にコロナ感染者数が急増し、各地で行動規制が強化された。日系大手メーカーによれば、物流の停滞も加わり、工場の生産調整を強いられるケースが続出した。一方、下旬には感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策に反発する市民による異例の抗議活動が発生。社会不安が高まる中、当局は12月に入ってゼロコロナ政策を事実上放棄した。
ただ、現在は各地で「感染爆発」が起きているもようだ。北京市の30代女性会社員は「今は家から出たくない」と話す。既に同僚や友人のほとんどが罹患(りかん)したという。市内のショッピングモールは買い物客の姿もまばらだった。
エコノミストは「(ゼロコロナ見直しの)方向性は正しいが、あまりに性急だ」と指摘。感染爆発を受けて景気の先行きに対する不安が強まっており、「短期的には消費がさらに落ち込む可能性が高い」と分析した。アジア開発銀行は14日、中国の成長率予想を9月時点の3.3%から3.0%に引き下げた。