財務省が17日発表した10月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆1623億円の赤字となった。赤字は15カ月連続で、10月としては比較可能な1979年以降で最大となった。輸出額、輸入額とも伸びたが、原油や天然ガスなど資源・エネルギーの価格上昇と急激な円安による輸入額の増加が上回った。
輸出総額は前年同月比25.3%増の9兆15億円、輸入総額は53.5%増の11兆1638億円。いずれも単月で過去最高だった。10月の平均為替レートは1ドル=145円09銭となり、前年同月から3割円安が進んだことが輸入額を押し上げた。
品目別で見ると、輸入額では原油が97.1%増、液化天然ガス(LNG)と石炭がそれぞれ約2.5倍と大幅に増加。ロシアのウクライナ侵攻で加速したエネルギー価格上昇が輸入額を膨張させる構図が続いた。
輸出額では、自動車が米国向けを中心に81.0%増となったほか、半導体など電子部品も20.1%増、鉱物性燃料が76.2%増となった。コロナ禍からの世界経済回復を受け、前年同月比で増加が続いている。先行きについては、世界的な景気減速による輸出への影響が懸念される。
国別の貿易収支は、対米国が7204億円の黒字、対中国は6713億円の赤字だった。
◇10月の貿易統計
輸出額 輸入額 差引額
総 額 90,015 111,638 ▲21,623
(25.3) (53.5) (―)
〔主要貿易相手別の内訳〕
中 国 17,202 23,915 ▲6,713
(7.7) (39.3) (―)
米 国 17,777 10,573 7,204
(36.5) (47.1) (23.5)
E U 8,600 10,741 ▲2,141
(28.1) (40.2) (―)
(注)通関ベース。単位億円、億円未満四捨五入。カッコ内は前年同月比増減率%。▲は赤字。―は比較できず