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アマゾンが年末商戦に向け生成AI活用本格化 外部小売業者向け機能も拡充

 米アマゾン(Amazon.com)が、この年末商戦の広告展開に生成AIの活用を本格化している。1億6000万人を超えるプライム(Prime)会員のデータを利用して、閲覧・検索・購買履歴に基づくターゲティング(追跡型)広告を改良し、出品者のプロモーションを支援する考えだ。

AIでターゲティング広告、商品画像の生成も

 アマゾンは毎年この時期、セールに力を入れる。最近では当日配達の対象商品や地域を拡大して、顧客を引き付けようとしている。今年の年末商戦では、これらの施策に加え、AIを活用したターゲティング広告でより多くの顧客と広告主を自社プラットフォームに引き寄せたい考えだ。

 アンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は、先の決算発表の説明会で、「機械学習(マシンラーニング)が、より顧客の関心に近い広告を表示するのに役立っている」と述べていた。

 アマゾンは先ごろ、生成AIを利用して商品画像を生成していると明らかにした。出品者の商品をより目立たせることがその目的だという。ロイター通信によれば、アマゾンは商品写真の背景をこのツールで自動生成している。

 アマゾンは広告へのAI導入では後発組だ。しかし、その事業規模を考えると、今後利用する出店者が急増する可能性がある。アマゾンの元広告事業幹部であるアンディ・フリードランド氏によると、生成AIの主なメリットは、顧客に合わせてパーソナル化した、数十から数千もの広告バリエーションを展開できる点だという。

広告収入は2四半期連続100億ドル超え

 この広告支援サービスが成功すれば、同社の広告事業の拡大にもつながる。アマゾンの2023年7~9月期における、オンライン広告収入は、過去最高の120億6000万ドル(約1兆7900億円)となり、前年同期から26%増加した。四半期ベースの広告収入の100億ドル超えは、2四半期連続となる。

 アナリストらは23年10~12月期にこの金額が、最大142億ドル(約2兆1000億円)に達すると予想している。

 その背景には、プライム会員の存在があるようだ。米調査会社フォレスターリサーチの主席アナリスト、ブレンダン・ウィッチャー氏は、「アマゾンの広告事業において、プライム会員が大きな優位性を生み出している」と指摘する。オンライン広告の成功には、トラフィック量が重要な要素になるからだという。

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