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ねらうはEC、金融、物流の支配か?東南アジアEC 大手「ラザダ」の戦略とは

東南アジアのEC市場の「変化」

 本連載の前身にあたる「グローバルリテーラーのDX最前線」(2022年4月15日号掲載)において、東南アジアを代表するEC企業、ラザダ(Lazada)とショッピー(Shopee)のデジタルトランスフォーメーション(DX)について、2社の方向性の違いの観点から論じた。

ラザダは15年に中国のアリババ(Alibaba)に買収され、同社傘下となった。(i-stock/Wachiwit)

 それから1年余りが経過するなかで、東南アジアのEC市場を取り巻く環境は大きく様変わりした。まずは、ショッピーの人員削減が挙げられる。図表❶に示すとおり、多くの東南アジア諸国でシェア1位を獲得しているショッピーだが、22年6~11月にかけて、各国で段階的な人員削減を実施した。

 他方、23年3月には、タイの3大EC企業の一角であったJDセントラル(JD Central:中国のJD.comとタイの流通大手セントラルの合弁会社)が過当競争に敗れ撤退し、注目を集めた。結果として、タイでは実質的にショッピーとラザダの2社による寡占状態となった。その後、ショッピー、ラザダともに出品手数料を引き上げ、両社は黒字化を実現するに至っている。

 このように、東南アジアのEC市場は、市場拡大・シェア獲得のための争いから、優勝劣敗が進み、収益確保のステージに移行しつつある。こうした状況のなか、EC市場だけでなく、より広い戦略的視点で次なる手を打ち続けているのがラザダだ。EC市場シェアについては現状ショッピーの後塵を拝している同社が何を企んでいるのか。本稿では、22~23年にかけての動向を振り返りながら、その先に描く未来について考察していきたい。

EC以外で積極投資を加速するラザダ

 ラザダは

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